谷川岳コップ状岩壁雲表ルート


天候 | 晴れ、山頂付近は曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
感想
日本で初めて埋め込みボルトが使われた壁、コップ状岩壁。リーダーDX先輩の目論見は、この壁を残置支点を使わずに登り切ること。正直結構ビビっていたが、無事に帰って来れた。
⚫︎山行メモ
ロープウェイの駐車場で3時間ほど仮眠をとって歩き始める。アプローチはわかりにくいもののミスなく登れた。
明るいコップ状スラブではロープを出し、ルート基部へ。
コップ状は植生強く、案の定ボロそう。JMCCがボルトラダーで登った所だけ異様に綺麗で硬そうな岩だ。右岩壁はハングから始まり、草の生えた岩壁が凄まじい高さで聳え立っている。DX先輩の周りでも登った人の話を聞かないらしい。
「登るラインは現地判断で」という事だったけど、登れる場所は限られそうだ。
やはりうまく弱点をついた雲表ルートを辿る事になった。
じゃんけんに勝ち1ピッチ目。リンクしてハングを全部越えるつもりが、レギュラーサイズのカムを沢山使ったので、ハング下でピッチを切る。もしここでピッチを切っていなかったら、まもなくランナウト後弾切れで詰んでいたので切ってよかった。(15m 5.9)
2ピッチ目DX先輩。本ルートの核心。先輩はビレイ点近くにも入念にプロテクションを追加し、ハング越えのコーナーへ。3番を決めたあと、「落ちるかも頼むよ」などと言い残し、獣のような、低音の、本能的唸り声を漏らしながらランナウトし登っていく。草を落としながらカムを決め、視界から消えていった。
バンドをトラバースした後、「ビレイ点を作るのに時間がかかる」などと聞こえてきた。壁のクラックの中から、ハンマーの打音が聞こえてくる。
仮固定してリラックスして待つ。40分ほど待って、解除のコール。
DX先輩は、草の下のリスをなんとか見つけ出し、3本のナイフブレードと240スリング でビレイ点を作っていた。うち2本は浅打ち。右手には古いボルトのビレイ点があった。松本龍雄が1958年初登時に打ったボルトは、結局どれの事だったのだろう。(15m 5.10+ R?)
露岩と草付きのミックスとなっている傾斜の強いコーナーを登り、ロープを伸ばす。去年の三スラの経験が生きる。あと5mのコール。このピッチの出だしは結構悪かったので、ビレイ点を作れない(コンテで登り続ける)とヤバい。クライムダウンし、泥っぽいがキャメ1、2番の決まるクラックで支点構築。不安定な場所なのでクリーニングは程々にカムを決めてしまう。この時一度2つのうち1つがすっぽ抜けて、もう一つで運良く止まった。足場が悪くランナウトしていたので、泥の掃除が疎かになっていた。決め直し、衝撃荷重を何度もかけてテスト。そしてビレイ解除。(50m Ⅳ+)
※ここはロープギリギリまで伸ばしていれば良いテラスと支点があった。
さらに2ピッチⅣ程の草つきの多いルンゼ状を登り、懸垂岩のコルへ。この日は雷注意報も出ていたが、ここまで降られずにこれて本当に良かった。
先輩は「久しぶりにこんな草つき登ったよ」などと嬉しそうだ。
一ノ倉尾根を国境稜線に向けて進んでいく。2度ロープを出した。2人とも積雪期の一ノ倉尾根は登っていたが、核心部、冬にM6となる部分は何処だかわからなかった。(もっと下?)
18時半に一ノ倉山頂。ここまで遠かったし、ここからオキの耳までも遠かった。
西黒尾根の岩場は疲れた脚に堪えた。23時30分下山。完全に出し切った。大充実の長い1日となった。
次の日は予備日で時間ができ、「君たちはどう生きるか」を見てきた。普遍的、絶対的なテーマで、あるシーンでしっかりと琴線に触れた。
⚫︎感想
雲表はかつての人気ルートだが、支点は朽ち果てており、指でつまむとパラパラ崩れていくほど腐食が進んでる。今後は残置に頼らないクライマーでないと登れないだろう。これは壁が本来の姿に戻っているだけで、クライミング的には良い事なのかも。
初登攀行を読んでから2年。
去年の三スラブ、雲表と(無事に)登る事ができた。
この手のクライミングは1番面白いのだけど、自分にとってはリスクが許容範囲を越えているのかもしれない。ここ一年色々あって、今後は控えようかとも思ってしまう。それでもまた、トポを見て壁を見てると登りたくなってしまうのだろう。
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