アメリカ西部の旅;(3)グランドキャニオン、ブライトエンジェルトレイル(Bright angel trail)を歩く

- GPS
- --:--
- 距離
- 15.6km
- 登り
- 1,113m
- 下り
- 1,111m
コースタイム
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 7:50
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
・ホテルから、ブライトエンジェルトレイルの入り口までも、そのツアーバスで送り迎えしてもらった。車で約10分。 注1) 「グランドキャニオン サウスリム地区」はグランドキャニオン峡谷の南側にある広い観光地域で、東西に約3kmある。 施設などが集中しているのは、東側のマザーポイント(Mather point)地区(ビジターセンターあり、また最も有名な展望地点)、中央部のマーケットプラザ(Market plaza)地区、西側のブライトエンジェルトレイルの入り口(Trailhead)付近の3か所。 各地区間は、遊歩道(Rim trail)や車道で結ばれており、歩いて移動も可能。 また「「サウスリム地区」内は、無料のシャトルバスが運行している」、とガイドブックなどに書いてあったが、当日は交通渋滞のせいか、シャトルバスの運行は不規則だったもよう。 注2) 「グランドキャニオン サウスリム地区」は、アメリカの国立公園地域となっており、クルマの乗り入れには規制があるらしい。 当日はそれでも、サウスリム地区へのクルマの入り込みが多く、地区内は渋滞していた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
1)ブライトエンジェルトレイル(Braight Angel Trail)は、観光客も含め、利用者が多いためか、かなりよく整備されており、道幅は1m弱、大部分ですれ違い可能。 但し、(日本の山道よりはましだが)、谷側から転落するリスクはあるので、すれ違い時や、写真を撮る際は、要注意。 2)急斜面につけられたトレイルではあるが、つづら折り状に道が付けられており、トレイルの傾斜は、思いのほか緩い。 しかし帰り(登り)では距離があるためにキツイ。帰り(登り)は、行き(下り)の2倍の時間を見込んでおくのがよい。 3)道迷いの心配はあまりないが、ビジターセンターで、無料で紙の地図("Hiking into Grand Cyanion" (日本語版もあり) )がもらえるので、その地図を持っていくのが良い。 4)トレイル内では、スマホの電波が通じた(mobile wifi 持参)。 現在位置確認には、グーグルマップを使用したが、このトレイルが表示されているので、それなりに便利だった。 5)途中の、1.5マイルポイント、3マイルポイントには休憩舎、WC、水場、非常用の電話 あり。 また今回の終点とした ”Indian Garden” (”Havasupai garden" とも表記される)にも、WC、水場、非常用の電話、レンジャー駐在所がある。 6)(現地ガイドにも言われたが)、下るにつれて気温が高くなり、日陰もないので、日中は「熱中症」に厳重注意! 今回、飲み水は3L用意した。帽子、塩飴、日焼け止めなども必需品。 また、今回は5月下旬だったので、気温は高くても26℃程度だったが、夏場(7〜8月)だと、日中のトレイルでは35℃以上になるそうなので、特に注意が必要(現地ガイド 談)。 |
その他周辺情報 | グランドキャニオンの「サウスリム地区」には、ビジターセンター、みやげもの屋、軽食の店、小さな博物館、美術館など多数あり、時間があれば、それらに寄るのも楽しい。 |
写真
朝7時前、ブライトエンジェルトレイル(bright angel trail)のスタート地点(サウスリム;2085m)を出発。
今日はクリアな晴天で、グランドキャニオンの対岸も良く見える。
(以下、トレイルで見かけた花の写真をまとめます)
※グランドキャニオンは乾燥した半砂漠的な気候だけど、この5月下旬は花のシーズンらしい。かつ、このトレイルは谷状地形にあり、雨水がたまに流れるせいか、花が思いのほか沢山みられた。
(全て、名前が不明なのは残念)
・これは、トウガラシっぽい色と形の花(中腹付近)
(以下は、趣味の地質観察の写真です)
トレイルからは、西側の岩壁(クリフ/criff)が圧倒的な迫力。かつ、地層を観察するのには最適の岩壁だ。。
(以下、このクリフの地質)
地層の上部は砂色の地層だが、良く見ると、最上部はゴツゴツした感じの地層群(第1層)で、その下は層構造の少ない断崖状の地層群(第2層)となっている。
ゴツゴツした感じの地層群(第1層)の下に、比高200m位で、同じく砂色だが層構造の少ない絶壁を形成している地層群(第2層)があるのが良く解る。更にその下は、赤っぽいゴツゴツした地層群(第3層)
感想
【山行No. 717(2)】
・今日、5月26日は、アメリカ西部の旅の、実質 第2日目。
・今回のツアーでは、自分的にはメインイベントと位置づけていた、グランドキャニオンのトレイル歩きにチャレンジする日がやってきた。
ワクワクするような、ドキドキするような、、久しぶりに気持ちが高ぶる。
・宿泊したホテルが、「国立公園」外にあり、トレイルの入り口まで歩くには遠すぎるため、ツアーガイドに相談し、朝6時にバスでトレイルの入り口まで送ってもらうことになった。
・6時30分にはトレイルの入り口に着き、さっそく準備をする。
朝早いし、標高も2000mを越えている(2085m)ので、やや肌寒い。が、今日は昨夕にまして空気が澄んでおり、トレイルの入り口から目指す谷間も、グランドキャニオンの対岸(ノースリム)もくっきりと見え、なんだかウキウキしてきたゾ
・トレイルの入り口の表示のあるところから、さっそくブライトエンジェルトレイル(Bright Angel Trail)へと足を踏み入れる。・・・グランドキャニオンという大渓谷に付けられたトレイルなので、険しい道かと思っていたが、思いのほか 幅も広くて歩きやすい道だ。(日本の山道よりもよほど整備されている)
・足取りは軽く、とんとんと下ってゆく。周辺の景色は、巨大な岩壁や岩峰がある中を下るので、デジカメ、スマホで写真を撮りまくり。どう写真を撮っても、絵になる。
・・いやー 素晴らしいの一言につきる。まさに天使(angle)が舞い降りたような景色だ。
・つづら折り状の急な傾斜部分を過ぎると、標高1300m付近からは、なだらかなU字谷状の場所となった。この付近は鮮やかな花々が多く、日本の高山地帯のお花畑のようだ。
またこの辺りは、谷底で雨水が集まるせいか、意外なほど緑も濃くて、蒼い空、赤い岩壁と、なんとビビット(vivid)な光景なんだろう。湿度の多い日本では到底見られない、素晴らしい眺めを目に焼き付ける。
・思いのほか楽に、今回の目的地の”Indian Garden" (現地では、"Navapopai Garden camp site" と表示あり)に到着。
(標高=1160m)
ここは、この谷底でも特に水が集まる場所のようで、比較的大きな木々も生えており、谷底の別天地といった風情。
キャンプ場になっており、こんなところで一晩過ごすと、これまた格別だろうな、と思う。気温も思ったほど上がらず、26℃で、空気も乾いているせいか、あまり暑さも感じなかった。
・さて、「行きはよいよい 帰りはつらい」トレイルを、出発点へと戻ろう。
・最初のうちは、足取りも快調だったが、3マイルポイント(標高=1450m)辺りから、足が重くなり、ペースもノロノロになってきた。登るにつれて傾斜がきつくなるのも辛く、30分に1回のペースで休み休み登ってゆく。
・上空には、カリフォルニア コンドルが何羽も、悠々と舞っているが、地を這うものは、ノロノロとゴールを目指す。太ももやふくらはぎが吊り気味になってきたのも辛い(鍛え方が足りてない!)
・予定より30分遅れで、午後2時になんとかトレイルヘッドに到着した時には、足は棒になっていた。
・・・が、その分、充実感は高い。トレイルヘッドから”Indian Garden
" を見下ろすと、よくもまあ、あそこまで往復したものだな、と自ずから感慨深い、良いトレイル歩きだった。
・トレイルヘッド付近にある軽食の店で飲んだビールは、心と身体に染み渡るようだった。
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(参照用リンク)
・アメリカ西部の旅;(2)グランドキャニオンの展望(夕景と、朝の風景)、5月25日、5月27日
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5588580.html
・アメリカ西部の旅;(4)モニュメントバレー(Monument Valley)観光
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5593593.html
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(以下、自分用の、地質観察関係 メモです)
・トレイルの側面にあたる岩壁を眺めると、このグランドキャニオン中、上部は、色調などの違いで大きく、以下 6つの地層(群)に分けられるように観察された。
(以下の文、及び写真のキャプチャーでは、以下の6区分を使用)
第1層;白〜砂色の地層群(層理、節理多め)
・最上部、標高2080〜1800m付近。
・ぱっと見、ゴツゴツした岩で、水平な層構造、節理が発達している。
=>(文献1)を参照すると、
この「第1層(群)」は、ペルム紀の海成堆積層で、
"Kaibab 層” (石灰岩)に相当する、と思われる。
(文献1)によると、"Kaibab 層" はかなり硬くて
浸食抵抗性の強い地層のため、グランドキャニオンの高原部の、
キャップロック(Cap rock)になっている、らしい。
第2層;白〜砂色の地層群(層理、節理少な目)
・第1層の下位、色合いは第1層と似ている。
・第1層と岩相が異なり、層構造、節理がほとんどなく、
いかにも浸食に強そうで、絶壁状となっている。
=>(文献1)を参照すると、
この「第2層(群)」も、ペルム紀の海成堆積層で、
"Cononido 砂岩” か ”Esprade 砂岩" に相当する、と思われる。
第3層:赤っぽい地層群(層理、節理多め)
・第2層の下位、第2層とは明確な境目があり、色も全く異なる。
・ぱっと見、ゴツゴツした岩で、水平な層構造、節理が発達している。
・グランドキャニオンのうち、奇岩、岩峰はこの第3層が
ピークを形成していることが多いように見えた。
=>(文献1)を参照すると、
この「第3層(群)」は後期石炭紀の海成堆積層(砂岩、泥岩)、
"Supai Group(スパイ層群)” に相当する、と思われる。
第4層;赤っぽい地層群(層理、節理少な目)
・第3層の下位、第3層と色合いは似ているが、岩相が異なる。
・よく見ると、第3層との境目は割と明瞭。
・いかにも硬そうな地層で、絶壁状となっている。
=>(文献1)を参照すると、
この「第4層(群)」は、前期石炭紀の石灰岩質海成堆積層で、
”Redwall limestone” に相当する、と思われる。
その名の通り赤い崖を作っており、ぱっと見、石灰岩には見えない
第5層;ダークグレー 〜 緑がかった地層群(構造不明瞭)
・第4層の下位層で第4層とは色合いが全く異なり、
ダークグレー 〜 緑がかった色合いに見える。
(緑がかった色合いは、岩の表面の苔、地衣類のせいかも知れない)
・脆そうな地層群で、崖錐状となっている。
=> (文献1)を参照すると、
この「第5層(群)」は、後期デボン紀の海成堆積層で、
”Temple butte 層” に相当するように思われる。(不確実)
第6層:ライトグレー 〜緑がかった地層群(層構造明瞭)
・第5層の下位だが、第5層との境目は、岩屑で覆われ明瞭ではない
・水平な層構造が明瞭。頁岩(シェール/shale)のように見える。
・第5層と同じく、やや脆そうな岩質で、露頭は部分的に岩屑に
覆われ、崖錐状となっている。
・ブライトエンジェルトレイルのうち、U字谷部分
(標高 1300〜1100m)に位置している。
=> (文献1)を参照すると、
この「第6層(群)」は、カンブリア紀の海成堆積層で、
"Bright angel shale(頁岩)層" に相当する、と思われる。
(文献1) R.L. Hopkins
” Hiking sereas, The southwest's geology
〜 "Four Corners Region" のうち、
・ p76 の図
”Comparison of the Grand Cyanion's rock layers
to the geogogical scale"
・ Chapter 3 "The Grand Cyanion" の項
コメント
この記録に関連する登山ルート
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いや〜〜、素晴らしい景色です。
小生も30年程前にグランドキャニオンでコロラド川までの往復計画を立てましたが、想定外のことが起きて中止になりました。
そのかわりアーチーズ国立公園を3時間ほど散策しました。
懐かしさがこみあげてきます。
アメリアツアーを満喫してください。
さっそくのコメント、ありがとうございます。
私は以前から、ヨーロッパアルプスが大好きなので、数回行ってますが、アメリカは出張で1回行ったきりなので、一度は観光旅行で良いから行ってみたい、と思っていました。
まあ今回は、JTBのパックツアーに申し込んでの旅行なので、「観光地巡りができればよいかな」、程度の期待度でしたが、この日は、自由行動日だったので、思い切ってグランドキャニオンのトレイル歩きをしてみました。
グランドキャニオンの観光は、私の妻も若かりし頃に行ったほどなので、日本の人も行ったことは多いかと思いますが、トレイル歩きはなかなかできないことですし、展望台から眺めるのに比べ、雄大な大自然の中を歩く爽快さ、日本では味わえないビビットな風景に感動ものでした。
私の「メイドの土産」が、また一つ増えました(笑)
アメリカ旅行を楽しんでおられますね、うらやましい!
upされたすべての写真に拍手を送ります。
広大なこの風景を見ると、日本人が抱く自由とアメリカ人が抱く自由の概念が異なっているように思えます・・。驚きの光景です。
ツアー楽しんでください。
コメントありがとうございます。
アメリカ(USA)は、出張で1回行ったきりで、今回初めて、観光、ハイキングをしましたが、いや〜 ”雄大”の一言でした。
日本の風景とも、ヨーロッパアルプスの風景とも全く違うスケール感、広大さ、また人もわずかにしかいない、全くの大自然。
大迫力というか、大自然の怖さ みたいなものを感じました。
こういう少し怖い感じの大自然(荒野的風土)が、アメリカ人のメンタリティ(自由でもあり、頼れるものは自分自身と銃だけ、的な)を作っているのかな? とも感じました。
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