岩屋志明院〜岩屋山〜桟敷ヶ岳


- GPS
- 04:29
- 距離
- 12.7km
- 登り
- 921m
- 下り
- 935m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
この日は夕方から出張なので、それまでに近くの山を歩くことにする。京都の雲ヶ畑の最奥に岩屋志明院という古刹があり、シャクナゲの名所でもあるらしい。丁度、シャクナゲが咲く季節だと思われるので、まずはこの古刹を訪れることにする。
寺を訪れると、山門の手前では立派な石楠花の大きな樹が満開の花を咲かせている。住職の知り合いの方が訪れておられるようで「今年はあたり年やな〜」という声が聞こえる。折しもNHKが取材に訪れていた。
山門から先の境内は写真撮影は禁止らしい。趣のある階段を登ってゆくと厳かな雰囲気の本堂に出る。まずは左手の小さな谷に入ると小さな壮麗な岩壁が現れる。その下には岩屋が二つあり、それぞれに不動明王と薬師如来が祀られている。
本堂から右手の奥に伸びる急峻な階段を登ってゆくと、こちらにも小さな岩屋がある。岩屋の奥には鉄柵が設けられているが、その奥には小さな水溜まりがある。岩屋の上から滴り落ちる水が溜まったものらしい。時折、水滴が落ちる音が静寂を破って岩窟の中に響く。拝観前に受けた説明によるとこの水滴は鴨川の水源として水神を祀るらしい。確かにここは特異な霊気に満ちているようた。
京都市の天然記念林に指定されているシャクナゲ林を今週のみ公開しているというので、山門に戻ると左手の尾根に登ってゆく。尾根の上に上がるとあたりは一面に途端に満開の花をつけたシャクナゲが広がっている。この樹によっては既に終盤を迎えているものもある。花の見頃は今週末までなのであろう。やがてシャクナゲの中に大日如来の石仏が現れる。さらにシャクナゲの下を潜って先に進むと見晴らしの良い岩場が現れる。空海が座禅を組んだという伝説に因んで座禅岩と呼ばれるところらしい。右手の斜面も一面に石楠花の花が広がっていた。この見事なシャクナゲ林の中を歩くことが出来ただけでもこの季節にこの寺を訪れた甲斐があったというものだ。
引き返して、再び山門に戻ると、参道の両側に数本の山芍薬が蕾をつけている。一輪だけ咲いている花があった。住職の談によると昨日に花がさいたらしい。残りの株も花が数日のうちに花が咲くことだろう。再び山門に戻ると住職ののご母堂と思われる寺族の方が「シャクナゲはネパール原産やけど、ネパールにこんなに花が見事なところがあるかしら・・・それに何より静かなのがいいわよね」と仰る。まさにその通りで、知られざるシャクナゲの名所である。
志明院を後に薬師峠へと続く道を登ってゆく。左手の植林の尾根に登り、岩屋山に直登する。植林の中は下生がなく歩きやすい尾根が続く。尾根はところどころでまだ三葉躑躅が咲いていた。尾根上は終始、涼しい風が吹いている。
岩屋山は以前にも訪れたことはあるものの、ピークというより尾根上の単なる通過点のようなところだ。南西のジャンクション・ピークの方が明らかに標高が高いので、山頂に気が付かずに通り過ぎてしまう。果たしてなぜここに三角点を設置したのか理解に苦しむところだ。
岩屋山からはなだらかな植林の尾根を下って薬師峠に至る。峠には六体の地蔵の石仏が並んでいる。今でこそ訪れる人は滅多にいないが、かつては丹波に抜ける要路の一つであり、多くの旅人が道中の無事を祈念したことだろう。
薬師峠から桟敷ヶ岳へと向かう。尾根はすぐに新緑の鮮やかな自然林が広がるようになる。右手の谷には北山らしいなだらかな源頭が次々と現れる。正面の岩茸山の斜面には新緑が色鮮やかなパッチワークを見せている。
登山道は岩茸山の山頂部に至る尾根道と山頂をバイパスして右手の斜面をトラバースする道に分岐する。山頂への尾根道を辿ると低木帯となる。このあたりでは三葉躑躅もまだ満開の花を咲かせているものが多い。木立に囲まれた地味な岩茸山の山頂を過ぎると、左手から地図にはない林道が登ってくる。ca830m反射板を建設するための林道だ。
反射板を過ぎると桟敷ヶ岳の山頂までは広々としたなだらかな尾根に自然林の疎林が広がるようになる。早速にも尾根の左手には飯森山・天童山へと続く城丹国境の尾根の展望が広がる。標高がわずかに高いせいか樹々のまだ芽吹いたばかりで新緑の色が薄い。
桟敷ヶ岳の山頂が近づくといつしか空には重苦しい雲が広がっている。急に風が冷たく感じられる。尾根を少し先に進み、山芍薬がある源頭を訪ねるが、花にはまだ早いようだった。下山は山頂から南東に伸びる尾根の送電線巡視路を辿る。
この尾根の右手にも山芍薬の群落が広がるが、ここでも花を咲かせている株は全く見当たらない。巡視路はやがて右手の薄暗い谷を下降し、祖母谷峠からの県道に合流する。志明院への道の分岐には落雲荘という立派な料理旅館があるが、営業している気配はない。旅館の前でもいくつかのシャクナゲの花が満開であった。
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