カナダ・Mt. Robson 3,954 m

- GPS
- 56:00
- 距離
- 20.2km
- 登り
- 3,123m
- 下り
- 3,123m
コースタイム
トレイルヘッド: 標高853m 10:00
キニー・レイク: 標高984m 11:00
ラルフ小屋 : 標高2525m 16:30
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累計標高差 : 1672m
タイム: 6時間半
二日目(8/24日) 晴 小屋・山頂往復
ラルフ小屋: 標高2525m 3:40
ロブソン山頂: 標高3954 m 9:00-9:20
ラルフ小屋 : 標高2525m 13:30
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累計標高差 : 1429m
タイム: 9時間50分
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
・アプローチ中の「Ladder Section」:お助けヒモありのスラブ ・下部、上部セラックの通過:セラックの崩落、谷への滑落に注意 ・岩稜帯のルートファインディング:だいたいロープなしで登れるが、下降はルートファインディングが難しいので、場合によっては懸垂下降(スリングの下降支点多々あり) ・雪壁の登攀:スタカットだと時間切れになるので、コンテで長い雪壁を登る。落ちると間違いなく致命的な結果に至る。 |
写真
感想
以下は、ブログの文章をそのまま転載したもののです。こちら(ブログ)の方が見やすいです。良ければ、あわせてご覧ください。
http://geldfels.blogspot.ca/2014/09/blog-post_11.html
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Mt. Robsonは、今年6月にハイキングで麓のキニー・レイクを訪れて以来、登りたいと思っていた山の一つだった。カナディアンロッキーの盟主(標高3,954 m)であることもさることながら、なんといってもその山容が登行意欲を掻き立てるのだ。キニー・レイクへ向かうトレイルから見上げると、標高差にして3000メートルもある。
しかもそれがかなりの急斜面で、真ん中にグレート・クロワールと呼ばれる深い谷が走っている。6月に訪れた時には、この谷をスキーで下れるんじゃないか、などと夢想した(実際行ってみたら、とんでもないことだった)。その後、Sean Dougherty著の「Selected Alpine Climbs」を買い、少しばかり勉強した。
ルートグレードは、ノーマルルートでIV。「完登に最低丸1日かかるルート」を意味する。クライミングの難易度を示すデシマル・グレードはついていない。アプローチを概念図化したものもあり、Ralph Forster Hutという小屋があることもわかった。が、具体的に今すぐチャレンジできる山のようには思えなかった。文字や少しの写真、概念図だけでは埋められない部分が多かったのだ。
同じくキャンモアに住むToshi君(以下T君)からロブソンへの誘いがあったのは、8月中旬だった。T君は、僕より年下だが、大学山岳部時代からの山経験があり、技術、経験ともに僕より豊富だ。聞けば、直近にロブソンへ登ったTakeshiさんから情報を聞いている、という。まさに「渡りに船」といった感じで、二つ返事でOKした。
登るルートは、情報が得られているノーマル・ルート(South Face)となった。私自身は、ルートにこだわりを持てるほどの実力は無いので、とりあえず登れるルートで山頂に立ちたいと思う。
ここからは、登頂の記録ですが、「百聞は一見に如かず」という方は、動画をご覧ください!
一日目:アプローチ
まずは、キニー・レイクのハイキング道をてくてくと歩いていく。橋を二回越え、しばらくするとホース・トレイル(乗馬の道)があるので、それに従い、沢の方へ向かう。ホースト・トレイルが無くなってもしばらく沢の方向へ進むと道が無くなり、沢が出現する。この時は、大きな雪渓が残っていた。左岸側の急斜面を登り、斜面に向かって斜め右方向に進んで行く、とケルンのある入口が出てきた。
ここからしばらくやぶ漕ぎとなる。が、トレイルは一応見えるし、ピンクテープが所々あるので、道を見失うことはないだろう。樹林帯を抜ける手前に一箇所だけ残置ロープのかかっているスラブ斜面があり、登山靴ではやや悪い。ここは、T君が先に登ってフィックスを降ろしてくれたので、心置きなく使わせてもらった。樹林帯を抜けたら、あとは斜面を斜上して行く。ケルンがずっと続いているので、それを追っていけば、まず問題ない。何箇所か簡単な岩登りをする箇所があるので、濡れていると注意が必要だ。
小屋に着くと、もう結構ぐったりだ。水は、小屋の左側から山頂に向かうトレイルを行き、最初のトレイルを左下方向に曲がり、またしばらく進むと雪解け水が手に入る。トイレは、小屋の右側、谷側に仮置きのようなものがあった。地面に穴を掘って、その上に便座を置いただけのような簡易なものだ。小屋内には、フォームマット、ガス缶、ガスコンロ、食器などがあったが、ストーヴ、ガス缶は自分で用意した方が良いだろう。ベッドはかなりしっかりしていて、8人くらいは収容できそう。
ACC(カナダ山岳会)所有の小屋だが、予約や代金の支払いは不要で、行って空きがあれば、利用することが出来る。ガイドパーティは別ルートを利用するそうなので、まず一杯になることはないと思われる。当然のことながら、小屋を元来た時のようにキレイな状態を維持することが最低限のマナーだろう。宿帳のようなものもあり、これまで登った人の記録が残っている。日本人の登頂記録もあり、興味深く読ませて頂いた。
この日のうちに、上部セラックの下見をしておく。いつ落ちてくるかもわからないセラック(懸垂氷河)が垂れ下がっていて、怖い。明日は、早朝なので視界の悪い中、この下を通過しないといけない。炊事をして寝る。
二日目:アタック
3時起き、4時スタートの予定だったが、準備が早く済んだので、早めにスタートする。下部のセラックトラバースはなんら問題はなかった。リトル・ロブソンまでの岩稜帯をロープを遣わずに通過。その後、氷河帯に差し掛かったところで、クレバスに近づいたら、「ミシッ」と音を立てた。慌てて二人で元いた場所に戻り、ロープを結ぶ。片方がクレバスに落ちた時の対処方法については、前日T君から手ほどきを受けていたが、幸運にも使うことはなかった。
リトル・ロブソンより上に再度セラックが突き出た場所があり、グレート・クロワールを横断する悪い場所がある。どの高さで横断するかがカギになるので、よくルートファインディングをしたい。この難所を越えると、またしばらく岩稜帯の登りが続き、そこから徐々に斜度が増す雪壁となる。最後は、ダブルアックスでアイゼンを蹴りこみながら登ることになる。
この雪壁が長く、ふくらはぎに疲労が蓄積される。この時はロープをつなぎ、T君がトップで登り、僕がフォローするスタイル。中間でランナーを取っている訳ではないので、トップが落ちたらフォローも間違いなく引きずられて落ちて高確率で墜死する。逆にフォローが落ちた場合、ピンピンにロープが張ってさえいれば、トップが身体で止める?という感じ。フォローは、精神的な余裕が少し生まれるが、トップのT君は一人で登るよりも精神的なプレッシャーがかかる。
お互い10mくらい前進してから休み、また登り、また休む、という繰り返しで高度を上げていったが、最後の方はT君のペースが早く、少し出遅れることがあった。いずれにしても、苦闘の末、なんとか山頂に立つことができた。体力的には、2日とも標高差が1000メートルを超えるので、そこそこしんどい。途中からロープを結ぶため、ある程度歩調を合わせる必要もあり、余計に疲れるかもしれない。
しかし、僕の場合、一人では登れなかっただろう。スタカットで登るほどテクニカルな箇所が無いので、ソロも可能なはずだが、今のところ挑戦する気は起きない。本当に天候とパートナーに恵まれた山頂だった。有難い。
下りは下りで、雪壁のダウン・クライミングに神経を使った。落ちればグレート・クロワールに真っ逆様でまず助からない。リトル・ロブソンを下り、アイゼンを外したのだが、ここで気が緩んだのか、雪面の状況を見誤り、軽く滑落した。短い雪の斜面だったのだが、アイゼン、ピッケルを出さずにグリセードで下れると思ったところ、思っていた以上に雪面が固く、スリップし、そのまま下部のガレ場に突っ込んだ。
幸い大事には至らなかったが、左足を少しくじいてしまった。この模様は、動画の最後に残しておいたが、遊んでいるようにしか見えない。。。本当は、冷や汗ものだった。小屋には、昼過ぎに着くことができた。その日のうちに下山することもできたが、次の日の天気予報も良好だったので、一日のんびりし、翌日下山した。
三日目の模様は、特に伝えるべきこともないので割愛する。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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ライト・エクスペディションを自分達の力で無事こなされ、充実感と達成感でいっぱいになられたことでしょう。
Geldfelsさんは、まだお若いから、一つ一つの経験が次のステップにつながって、未来が開けていきますね!
ロブソンは見る角度のよって大きく姿を変えるんですよ。
私は、どうしてもケイン・フェースの氷雪壁を登りたくて、インフォメーションセンター近くから、チャーター・ヘリで、ザ・ドームへ上がり、ACを設営。下山は、バーク・レイク・キャンプグラウンド近くの河原に、ヘリで降ろしてもらい、一人で、スノウバード・パスからインフォメーションセンターまで2泊3日で歩きました。
ロブソンを300度ほどぐるりと周ることになったわけですが、見事にその形が変わっていくのが新鮮でした。
私は、一緒に登るパートナーが見つからず、現地ガイドを雇用したので、ロブソンそのものより、一人で歩いたロブソン・トレイルの方に思い出が多くあります。
もう一度歩いてもいいかな!
mizuki
Mizukiさん、コメントありがとうございます!
天候の読みにくいとされるロブソンですが、
幸い好天に恵まれ、無事登頂できました。
雪壁の登攀が長かったので、登り終えたときは、
安堵感と達成感に満たされました。
充足感としては、これまでで一番だったかも知れません。
(これまでに大した山に登っていないということなのですが、、、)
大きい山は良いですね。
また来たいと思いました。
ケイン・フェース、Conrad Kainの名前がついている
初登ルートですよね。
下山に2泊3日ということは、全行程は何日ですか??
今回登ったSouth Faceは一番短いと言われていて、2泊3日でしたので、
他のルートはどこも大変そうですね。
ケイン・フェース横のエンペラー・フェイスも有名ですね(難しそうですが)。
Wishborn Areteのルートは、北米クラシック50選に入っていましたね。
ロブソンを他の角度から、という視点はありませんでした。
またそのうち来ることがあれば是非見てみたいです!
Geldfels
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