【黒部源流沢登り紀行】赤木沢・祖父沢・イワナ釣り・雲の平・水晶岳


- GPS
- 56:00
- 距離
- 50.1km
- 登り
- 3,283m
- 下り
- 3,266m
コースタイム
6:00亀谷ゲート
6:45折立7:20
8:45三角点
11:17五光岩ベンチ
12:30太郎平小屋13:00
13:57薬師沢左俣出合
15:10薬師沢小屋《入渓》
16:45ビバーク地
8/11(日)
5:30ビバーク地
6:50赤木沢出合
9:10五郎沢出合
9:35祖母沢出合
9:45祖父沢出合
14:45雲の平《遡行終了》15:15
17:25祖父岳
18:20岩苔乗越
19:10水晶小屋
8/12(月)
6:10水晶小屋
6:50水晶岳7:10
7:55水晶小屋8:20
10:50祖父岳
12:20雲の平山荘
12:50アラスカ庭園
15:40薬師沢小屋
8/13(火)
6:15薬師沢小屋
8:50赤木沢出合
12:05 35m大滝12:20
12:50 大滝直上
(最後の二俣を間違えて左に入る)
13:45 源頭
(きついハイマツ漕ぎ)
15:00中俣乗越15:30
16:25赤木岳
17:40北ノ俣岳
18:50ビバーク地
8/14(水)
4:10ビバーク地
4:55太郎平小屋6:25
9:30折立
天候 | 全日程ともに晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ETCの休日深夜割引(0〜4時)を利用して、練馬〜立山で4150円に。立山ICを0時過ぎに通過できるよう休憩しながら調整しました。 有峰林道は1800円(普通車)でした。一部を除いて整備されており走りやすい道でした。折立の手前から携帯電話が一切繋がらなくなります。 有峰林道 http://www.arimine.net/mysite2/index.html |
コース状況/ 危険箇所等 |
【折立〜太郎平小屋】 三角点までは急登、あとは見通しのいいゆるやかな登り道。お盆休み初日ということもあり、登山道は渋滞気味。 太郎平小屋 http://www.yamakei-online.com/mt_info/info_detail.php?info_id=1041 【太郎平小屋〜薬師沢小屋】 沢の渡渉が3回ありますが、増水したら危険そうです。木道もあり全般的に歩きやすい。 【薬師沢小屋〜赤木沢出合】 基本的に左岸を歩く。小屋から15分ほどで大きな中州がある。ここは右の流れのほうを歩く。左岸が歩きづらくなったときは流れを渡って中洲側が歩きやすい。 途中3度ほど、へつりの部分があり、どれも最初が取り付きづらい。深さは腰から胸辺りまで。 【赤木沢出合〜祖父沢出合】 赤木沢出合の滝以外は基本的に河原歩き。左岸を進んで途中から右岸へ。途中のへつり部分を高巻きする箇所がある(濡れつつ本流を歩くこともできる)。単調な河原歩きだけれど、景色は格別。 【祖父沢出合〜祖父沢〜雲の平】 祖父沢と本流の二俣はY状になっている。祖父平の辺りはゆるやかな沢ハイク。途中左岸に崩壊地があり、その辺りから3〜5m程度の小滝が連続し一気に高度を稼いでいく。基本的には単調で顕著な滝はなし。 周りに草地が増え高山植物が増えて高原調になってくると終盤。徐々に水量を減らしつつ1〜3m程度の小滝の連続地帯になる。かなり退屈な区間。 水流が雲の平キャンプ場まで繋がっている。祖父岳山頂が見えるとゴールは近く、そのうちテント場が見えてくる。ゴールは雲の平キャンプ場の水場。藪漕ぎ、ハイマツ漕ぎなく快適に登山道に出られる。 【雲の平〜水晶岳】 危険箇所なしですが、祖父岳の登りが急なガレ場で体力を消耗させられる。祖父岳から直接雲の平テント場に下りる道は廃道になったみたいです。 祖父岳と岩苔乗越の間の巨石が点在する辺りに不要な荷物をデポしました。 水晶小屋 http://kumonodaira.net/suisho.html 【雲の平〜薬師沢小屋】 かなりの急坂で下りでも神経を使います。道は明瞭です。 【赤木沢出合〜中俣乗越】 は右岸をまとめて大きく高巻きました。 35m大滝は左岸に巻き道あり。道も明瞭です。中間地点の辺りで岩と泥の草つきをトラバースする部分が一番危険な箇所と思われます。岩のホールドと木の根をうまく利用して登っていく感じです。 最後の二俣を右にいかないと、詰めが大変なことになります。今回は誤って左に進んでしまい、中俣乗越からやや黒部五郎岳よりの斜面に出てしまいました。最後がかなり激しいハイマツ漕ぎになってしまい、体力を消耗。本来は最後の詰めはササの斜面を快適に詰めて雪渓を横切りゴールするようです。 なお遡行図等は豊野則夫著『北アルプスの沢』(白山書房)を参考にしました。 http://www.amazon.co.jp/dp/4894751038 【中俣乗越〜太郎平小屋】 時間切れで北の俣岳で日が暮れてしまい、体力的に薬師峠まで行くのは難しいと判断し、北の俣岳から下った木道地帯の脇にある砂礫帯にビーバークしました。 下山後の温泉は亀谷温泉の国民宿舎白樺荘へ。700円(人)。 http://www.shirakaba-toyama.com/index.html その後、魚津港まで移動して昼食にしました。 水晶小屋は混雑しており、布団1枚に2人でした。薬師沢はかろうじて1人1枚でした。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25,000地形図 薬師岳・三俣蓮華岳
ガイド地図 山と高原の地図・北アルプス剣・立山
コンパス
筆記具
ライター
ナイフ
保険証
サバイバルシート
ティッシュ
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
スパッツ
手袋
ストック
ビニール袋
替え衣類
シュラフ
シュラフカバー
ザックカバー
食器
ポリタンク
時計
日焼け止め
非常食
沢用フェルト靴
沢用ソックス
沢用スパッツ
ヘルメット
ハーネス
スリング 5 60cm&40cmそれぞれ
カラビナ 4
安全環つきカラビナ
エイト環
つり竿&仕掛け 渓流用4m
つり仕掛け予備 ハリス、釣糸、ガン玉セット、目印、丸かん
つり餌 イクラ、ぶどう虫
魚籠
魚用ナイフ
仕掛け用カッター
みみず通し
ハリ外し
|
---|---|
共同装備 |
テント モンベル・ステラリッジテント3型
グランドシート
ランタン
コンロ
ガスカートリッジ
コンロ台
ファーストエイドキット
医薬品
ラジオ
車
ザイル 30m、9mm
|
感想
いつも通っている美容院の美容師さんに
「今度お店を辞めて水晶小屋で働くんです」
と言われ、
「じゃあ夏休みに遊びにいきますね」
なんて気軽に答えてしまったのが今年の5月。
夏休みが近づいてきて、「そういえばあんなこと言っちゃったなぁ」なんて思い出して、
「だったら水晶小屋に泊まって水晶岳に登りつつ、あの辺りを歩いてみよう」
そう思い立って決まった今回の山旅。
一度決めるといろいろと欲張りたくなるもので、
「せっかくだからテント泊もしたい」
「北アルプスで沢歩きがしたい」
「温泉にも入りたい」
「薬師も黒部五郎も鷲羽もいきたい」
「イワナを釣って新鮮な岩魚料理をしたい」
「思い切って赤木沢にも登ろう」
と次々に膨れ上がった今回の計画。
とりあえず計画では初日は薬師沢まで行ってイワナ釣り。
2日目に源流から雲の平を満喫して水晶小屋、あわよくば鷲羽岳ピストン。
3日目は水晶岳登って高天原温泉。
4日目はいよいよ赤木沢。いければ黒部五郎岳も。
そして5日目は薬師岳登頂して下山
という遠大な計画に膨れ上がりました。
【8/9】
18時頃都内出発。金曜夕方なこともあって首都高は大渋滞。結局首都高と外環を抜けて関越道に入るまでに1時間半もかかってしまう。
その後は渋滞箇所はなく涼しくなった時間帯を快適に進む。北陸道の有磯海SAで時間調整の大休止。そして0時を過ぎて土曜日になったところで立山ICを通過。これで高速料金を節約。
インター近くのコンビニで行動食と初日の食事を調達して亀谷ゲートには1時前に到着。既にこの時間で車は20台ほどゲート前に並んでいる。すぐに就寝。
【8/10】
折立登山口は激混み。登山道は渋滞で思うようにペースを上げられず。テント装備+沢装備+食糧6日分でザックは25kg超。登山道が広くなり歩きやすくなってもペースはなかなか上がらない。
太郎平小屋到着は12時半頃。コースタイム通りだけれど、いきなり明日以降が思いやられる状態。
薬師沢小屋を目指すも予想外になかなかペースが上がらない。明日は源流をかなり歩いて祖父沢を遡行して、さらに水晶小屋まで行くという超ハードスケジュール。なるべく明日の負担を減らしたい。
というわけで、薬師沢小屋を通過して、できる限り黒部源流を詰めることに予定を変更する。
薬師沢小屋の梯子を降りて入渓。左岸をひたすら歩いて1時間半ほど歩いたところでビバークできそうな場所を見つけたので、ここにテントを張ることにする。
ひと段落したところで、今回のやりたいことの一つ、イワナ釣りをスタート。本を読んで見よう見真似で仕掛けを作成。
果たして釣りド素人でも黒部のイワナは釣れるのか? と行く前は考えていましたがいざ始めてみると、わずか30分の間に2匹つれました。そのうち1匹は20cmくらいの大きさ。しかも餌はイクラ。残念ながら日が暮れて時間切れ。
「明日も遡行の間に釣りしよう」
と期待を大きく膨らませながら就寝。
【8/11】
この日は5時半頃出発。3度ほどのへつりが体に堪える。水が冷たい。
源流に入ると遡行者はなし。黒部の流れを独占しながら進む。
ところが途中左岸のへつりを避けるために藪漕ぎしたら、気づいたら釣竿がない。ザックのサイドのポケットに入れていたのだが、気づいたらチャックが開いている…。しかもこの前にカラビナも一つ落としていて、なんだか不吉というか嫌な流れだなぁと先が思いやられる。
祖父沢も意外に単調で面白みにかける。でも崩壊地を過ぎると登れる小滝が連続していて楽しい。途中で手づかみでイワナを捕まえることができた。釣り竿なくしたけれど天の恵み?
ところが途中から同行者のペースが少し遅くなる。遡行を終えて雲の平キャンプ場に飛び出したのが15時頃。微妙な時間だ。でも小屋には予約の電話を入れている。残念だけれど水晶小屋は諦めようかなと思って同行者に調子を聞いてみると「大丈夫、行こう」とのこと。確かにいつものペースでいけば行けない時間ではない。
ここで進んでしまったのが、後になって後悔することになる。
祖父岳の登りに差し掛かる頃、同行者の歩みが極端に遅くなる。自分はどうかというと、濡れたザックが意外と体に堪え、ペースが上がらない。祖父岳山頂に着いた頃には5時近くなっていた。行動食を食べたら少し元気になったが、かなりの時間ロスだ。
このままでは拙いので、とりあえず翌日の高天原温泉は断念して雲の平経由のルートにすることに変更、沢装備など置いていける物を祖父岳直下の巨石帯の岩陰にデポする。これで荷物を軽くしてひたすら小屋を目指すが、結局水晶小屋直前で日が落ちてしまい、小屋の方々に迷惑をかけることになってしまった。
【8/12】
水晶岳の山頂は快晴で360度の大展望。小屋に戻って準備をして、記念撮影をして出発。ちなみに水晶小屋は満員で布団は2人で1枚の状態だったそう。小屋は4人で切り盛りしているそうで、女子率高い小屋でした。
デポしたところに戻って、天気がいいので濡れたものを乾かす。天気もいいし昼寝しながらしばし寛ぐ。
その後雲の平の雄大な景色を堪能して薬師沢への急坂に四苦八苦して到着。昨日も疲労もあり、とりあえずテントの回収は断念。明日回収することにし、明日体調がよければ赤木沢を遡行し、難しそうならテントを回収して薬師沢小屋に戻り、薬師峠まで登山道を歩くことにする。
夕食はなるべく荷物を軽くするためにレトルトや缶詰を一気に平らげる。小屋のテラスで食事していたら上ノ廊下を遡行してきたという屈強な2人組が登場。いつか自分もチャレンジしてみたいけれどレベルが高すぎるだろう。この方には下山後の温泉で会い、少しだけ話を聞くことが出来た。
【8/13】
出発に時間がかかり6時過ぎに出発。7時頃にビバーク地に到着しすばやく撤収する。天気は快晴。疲れもさほど残っていなかったので赤木沢に行くことに決定する。
最初の高巻きが難しかったものの、赤木沢に入ると赤岩にエメラルドグリーンが映えとにかく美しい。空は青、草木の緑に可憐な高山植物と、まさに楽園という様相でした。
最初の滝は滑りやすく、ちょっと難儀。次の連続した滝は右岸からまとめて大きく高巻きました。2段目までの踏み跡は明瞭でしたが、その上部は左岸から巻くのがセオリーのようで、まとめて右岸を巻く道は不明瞭でした。
ここから大滝までは快適で美しい滝の連続。気温も高くなって水が気持ちいい。
大滝は左岸に明瞭な巻き道があります。ここの登攀が最も気になっていたところ。休憩しながらルートを思案してみても、支点はとりやすいけれど、樹木が邪魔でロープも出しにくい。
ただ荷物はテントを背負って約20kg。この大荷物を背負って登るのは危険を感じるレベル。ただとりあえず中間地点まではホールドもしっかりしているし、泥つきの斜面で木の根も使える。中間地点までは難なく登れる。
ところが途中に岩場を右にトラバースしていく箇所がちょっと嫌らしい。ロープを出すにも足場が悪くビレイも難しい。
ただ、荷物がなければ問題はなさそう。そこでまずは自分がトラバース地点を通過してザックを一旦下ろして、スリングで体をビレイし。その後同行者のザックをまず回収し、その後空身でトラバースすることで通過することができた。結局、巻きに30分くらい要したものの、何とか難所を通過することができた。これで一安心。
大滝の上の40mくらいのナメ滝は、大滝の高巻きを終えたご褒美といったところです。それほどきれいでため息が出るほど。
ただ最後の二俣を間違えて左に進んでしまい、最後が激しいハイマツ漕ぎになってしまった。意外と体力と時間を消耗し中俣乗越に到着したのが結局15時位になってしまった。
その後赤木岳と北ノ俣岳は超えたものの、日が傾き始めてしまいやむなく北ノ俣岳直下の砂礫帯でビバークすることに。
ただ源頭で薬師峠までの行動中に必要な最小限の水しか汲んでいなかったので2人合わせて800mlくらいしか水がない。まともな食事はとれず行動食だけ食べて早々と就寝。星がきれいだったのは救いでした。
【8/14】
この日は4時に撤収開始。歩き始めると夜が開けまもなく太郎平小屋に到着。水を汲んで食事にする。いろいろと疲れもありこの日の薬師岳ピストンもカット、このまま折立に下山することにして、ゆっくりと食事の時間を堪能する。
約三時間で下山。その後温泉で同日に入山して同じ時間に下山した方とお話をし、「おいしい魚が食べたい」ということで海沿いの魚津市へ。港近くの料理屋でランチを楽しんでお土産をかって帰京しました。
結局、当初の目的は半分くらい果たせたけれど、いろいろと反省点の多い山行となってしまいました。
やはり暗くなってから小屋に到着するのは避けるべきでした。雲の平での判断ミスは大きな反省点です。
それから重い荷物での高巻きは危険度が高まるという点ですね。やはり荷物が重かったことでどうしても行動時間が長くなってしまい、その分疲労も溜まるという悪循環でした。食糧も結局余り気味になってしまいました。
長期間の山行は「なんとかなる」では済まないわけで、なるべく装備の軽量化が求められるということも改めて痛感しました。体力に任せて「とりあえず持っていけ」は駄目ということ。
いろいろ反省点は多かったですが、「水晶小屋に行く」「赤木沢に行く」「イワナ釣りをする(竿をなくしましたが 泣)」という目的は達成できたので、厳しいけれど楽しい山旅でした。
ただ指先、足、肩など全身筋肉痛と生傷、青痣でいっぱいですが…。
コメント
この記録に関連する登山ルート

wadachiさん、こんばんは〜
一昨日、meta_bomanさんの赤木沢のレコを拝見して、やっぱり誰かに頼っても行かなきゃ!!
と思ったばかりでしたが、また追い打ちです
これにて完璧にKOされました
wadachiさん、大変失礼ながらフォロワーに登録頂くまで存じ上げず、登録頂いても、「なんで私なんかを?
お若くて羨ましい限りですが、おっさんもまだまだ諦めずに頑張ろうと思います
刺激を頂き、ありがとうございました!!
コメントありがとうございます。FRESCHEZZAさんが興味持って登っている山がちょうど自分ともかぶっているものでフォーローしていました。
meta_bomanさんとは折立からの登りで少しだけお話ししていました。
赤木沢、すばらしい沢でした。行って損はないと思います。大滝の高巻きと本流のへつり以外に難しいところはないので、ぜひ行ってみてください!
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