日留賀岳 * ついにその時は来た(熊との遭遇) *



- GPS
- 07:40
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,464m
- 下り
- 1,455m
コースタイム
天候 | ○ 天気 : 快晴。 ○ 風速 : 弱め(5m/s程度)。 ○ 気温 : やや寒め(登山口で6℃くらい)。 ○ 視程 : 普通。 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・04:45 {自宅} - 07:30 小川家駐車場(日留賀岳登山口) ※高速利用:桜川筑西IC〜壬生IC、鹿沼IC〜西那須野塩原IC ※山守りの小川さん宅の駐車場に有難く停めさせて頂きました。 ○ 復路(約15km) ・15:20 小川家駐車場(日留賀岳登山口) - 15:40 {宿泊先} |
コース状況/ 危険箇所等 |
【全般】 〇 総距離:約15km、累積標高:約1500mのややハードなコースです。 〇 8人のハイカーの方とすれ違いました。 〇 中間部のブナ林を過ぎた辺りに「ふくべの曽根」と呼ばれる標高差300mの 急坂があります。また、山頂直下にも標高差400mの急登があります。 〇 山頂直下の片側が切れ気味の区間を除き、所謂難所(岩場等)はありません。 〇 但し、道迷いや野生動物(熊、猪)との遭遇のリスクが高い山だと思います。 【リスク:道迷い】 〇 林道終点からふくべの曽根までの区間で、(この時季特有の)落ち葉に トレースが埋もれてしまっている場所がありました。 〇 そのうえ、地形がやや複雑でピンクテープも疎らなため、注意を要します。 〇 神社改築寄進碑から鉄塔までの区間で、木に赤い印が付けられた場所が あります(5枚目、32枚目の写真に映っています)。これは恐らく 林業用のマーキングかと思いますので、立ち入らない方が良いです。 (ピンクテープも混在しているためかなり紛らわしいです) 〇 GPS等があると無難かと思います。 【リスク:野生動物との遭遇】 〇 栃木百名山ガイドブック(下野新聞社)で、「全山熊に注意」と紹介されて いるほど、熊の多い山域のようです(それだけ山が奥深いということです)。 〇 実際、二頭も熊に遭遇してしまいました(涙)。 〇 熊だけでなく猪の目撃情報も少なくないようです。 〇 熊鈴やラジオ等で自分の存在を伝えるのは当然のこと、極力単独行は 避けたほうが良いと思います。 |
その他周辺情報 | (1) トイレ コース中にトイレはありません。 登山口手前の国道400号沿いにある公共トイレの利用をお薦めします。 (2) 登山ポスト 登山ポストではないですが、小川家に登山者名簿があります。 (3) 温泉施設 下山後「塩原元湯温泉 ゑびすや」に宿泊しました。 塩原最古の源泉「梶原の湯」(乳白色)と塩原唯一の間欠泉「弘法の湯」 (緑白色)の二つの名湯に身も心も癒されました。日帰り入浴も可能です。 ※営業時間 : 10:15 〜 14:30(最終受付:14:00)(木曜休業) ※料金 : 500円/人 ※参考HP : http://ebisuya3.sakura.ne.jp/ |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
カメラ
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感想
「ひるがだけ」に登ってきました。
と言っても、首都圏でお馴染みの丹沢最高峰の蛭ヶ岳(1673m)ではなく、
栃木県は男鹿(おじか)山塊にある日留賀岳(1849m)のほうです。
那須塩原温泉郷のちょうど北側にあるこの男鹿山塊は、標高1500mを
超える比較的大きな山の連なりであるにも関わらず、人気の日光と那須に
挟まれているせいか、いまいち影が薄く、あまり人に知られていません。
そればかりか、最高峰の大佐飛山(おおさびやま:1908m)や主峰の
男鹿岳(おじかだけ:1777m)には登山道すらありません。
ただ、それは裏を返せば、この辺りの山が奥深く、豊かな自然が残っている
ということになりますので、台風続きで見られずにいた今季最後の紅葉を
期待して、ふと登ってみたくなったのでした。
天気にも恵まれ、長い樹林帯歩きの末、山頂ではほぼ360°の大観を拝みました。
また(終盤ではありましたが)紅葉狩りの目的も達せられ、良い山だったねー、
と、満ち足りた思いであとは下山するだけのはずでした。
あと少しで下山という地点、往路でも通った鉄塔が明暗の分かれ道でした。
登山道とは別に、木に赤くマーキングされた尾根筋の道を見つけたのです。
少し急でしたが、確かな踏み跡もあり、一定間隔でピンクテープまで施されて
いたので、ショートカット道と認識して疑うことなくそちらへ進みました。
歯車が狂いだしたのはまさにここからでした。
今思えば、早く下山したいという思いが裏目に出たのかも知れません。
マーキング伝いに150メートルほど下った付近でそれは起きました。
「なんか今黒い塊が動いた気がした。」
先を進む嫁がそう言うのです。
え!?黒い塊が動いたって・・・そんなの熊しかいないじゃないかっ!
そう頭を過った次の瞬間、僕らのすぐ左の谷筋を上方へ向けて一目散に
逃げていく熊の姿を目にしたのでした。ヤバっ!リアル熊!!
一瞬の出来事でした。初めての体験に焦りを覚えましたが、幸運にも
熊のほうから逃げてくれました。とは言え、一刻も早くこの場所から離れるのが
肝要と考え、落ち着いて、マーキング伝いに下降を続けました。
ところが、しばらく進むとその肝心のマーキングが途絶えてしまったのです。
こんなときにロストか・・・。
恐らく赤いマーキングの正体は林業用の目印か何かだったのでしょう。
GPSで現在位置を確認すると、登山道より数百メートル左側に逸れた場所に
いることが分かりました。地形的にそこまで難しくなさそうだったので、
登山道への復帰を目指してトラバースを開始しました。
その直後のこと。進行方向の50メートル先の木立の間に黒い影が
見えた気がしました。岩にしては少し黒すぎるな・・・待てよ、、、
もう一度その場所をよく確認すると、岩ではなく、こちらを静かに
じっと見つめて動かない大きな熊の姿がありました。またか!
熊の黒く冷たい二つの眼光が僕の視線を完全に捉えていました。
まさに臨戦態勢。次の僕らの行動を窺っているのです・・・。
体をこちらに向け、今にも襲いかかってきそうに見えました。
身の毛がよだちました。ヤバっ!ヤバっ!ヤバっ!
すぐにその場所を離れる必要がありました。でもどっちへ行けば?
○ 進行方向には熊がいるのでとても無理(死あるのみ)
○ 来た道を戻ったら最初の熊に再び遭遇する恐れあり
○ シラン沢方向へは急すぎて下れない(仮に下れても沢筋はリスク大)
まさか八方塞がり!?いや、、、一つだけある。
右手の道無き尾根を登るしかない。頭だけは意外にも冷静でした。
熊を威嚇しない程度に声を出しながら、そろそろとその場を立ち去りました。
ここは熊だらけ。二度あることは三度あるかもしれません。
視界に入る全方位に神経を集中して慎重に尾根を登りました。
いつしか嫁は歌を歌っていました。もちろん気が触れた訳ではありません。
こちらの存在を熊に知らせるためです。
ある日パパと二人で語り合ったさ。
この世に生きる喜びそして悲しみのことを。
グリーングリーンか・・・。
この状況で、、、なかなかやるな。気分はむしろブラックブラックでしたが、
嫁なりに捻り出した最高のシニシズムでした。
その後、薄い踏み跡を見つけ、辿った先でようやく登山道に復帰しました。
ほんの少しだけ緊張が解れましたが、それからもしばらくは生きた心地が
しませんでした。車を置いてきた小川家宅を見るまでは。
コメント
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熊遭遇、しかも2回とは大変でしたね〜。
しかし、冷静沈着な判断で無事切り抜けられて良かったですね。
私はまだ未経験ですが、前を先行していた方が遭遇されたり、ヤマレコ仲間が襲われたりしています。
今回は熊鈴なしだったのですか。
出会い頭での遭遇が襲われるリスクが高いので、風情がないと嫌う人もいますが、人の少ないコースでは熊鈴を着用するようにしています。
最近は、熊の個体数が増えているという話も聞きますので、お互いに気を付けて楽しい山行にしたいですね。
hikeさん、こんばんは。コメントありがとうございます!
山を続けていればいつかは熊に遭遇することもあるだろうなぁと思っていましたが、
まさか1度に2匹も出くわすとは思っていませんでした(涙)。
2匹とも成獣で、冬ごもり前のせいか(はたまた恐怖のせいか)かなり大きく感じました。
熊鈴は着けてました。僕らも人が少ない山や山域によって着用するようにしています。
今回はそれでも心配だったので、なるべく嫁と会話を途切れさせないようにしました。
結果それでも会ってしまった訳ですが、1匹目が向こうから逃げてくれたのは、
或いは僕らがうるさかったせいかもしれません(笑)。お互い気を付けましょうね。
piazzolla さん、初めまして
クマに遭遇しましたか・・ 僕も一度遭遇していますが、向こうから逃走してくれましたが、クマは賢いので逃げたふりをして攻撃されるのでは? とドキドキしました。
というか僕もロストしていたらクマに遭遇していたのですね 僕は「森のくまさん」には会いたくないです。
ちなみに僕はクマ鈴を持っていましたが騒がしいので鳴らしませんでした。
林道の下りで間違えたようですね
僕はそちらの方には行きませんでしたが、右に曲がるところで不明瞭に見えてちょっと緊張しましたが、小枝で封鎖サインがあったので曲がりました。
塩那道路もいいところなので行ってみてください。
inoyasuさん、初めまして。コメントありがとうございます!
抜かされる直前に、後ろで音がしたときは一瞬熊かと思いました(笑)。
熊に遭遇したのは比較的登山道からもそう遠くない場所だったので、後ろの
8名の方々が心配でした。特にニュースになっていないので杞憂のようですが。
塩那道路(というか大佐飛とか)は確かに魅力的ですが、藪が嫌なので行くとしても
冬でしょうね。ただ、今回の件もあるので当面あの山域は自粛します(笑)。
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