![]() |
![]() |
![]() |
私も暑寒別岳から、増毛のこの山の神あたりを春に歩いたことがありますが、時期が遅かったので、花よりもギョウジャニンニク(アイヌネギ)をザックにたっぷり収穫したことくらいしか、思い出はありません。
カタクリの大群落は本州でも見られますが、エゾエンゴサクが森や道端の土手をうずめつくして咲く様は、北海道ならではのものです。増毛の大群落は、場を踏んできた直行さんをして「道内随一」と言わせるような、壮大な規模のものでした。
エゾエンゴサクは、本州のエンゴサクの仲間に比べると、ふたまわりくらい大きめに感じます。
とはいっても、茎は細めだし、弱よわしい花のつくりです。それなのに、早春の森や野を埋ずめつくして咲くこの花は、自然の息吹と生命力を感じさせるものです。
この花は地上の花などはお浸しにできます。直行さんは「早春の三花」に数えて、眺める楽しみを書いています。春を告げるこの花が、よほど好きだったようです。
アイヌの人々はエゾエンゴサクの球根(塊茎)を大事な食糧としてきました。(「分類アイヌ語辞典第一巻植物篇」、知里眞志保)
塊茎は、直径1センチ前後で、ビー玉状。
塊茎を2,3日水にさらしてから、臼でついて餅にして食べた。(日高地方)
塊茎を焼いて油をつけて食べたり、そのまま煮て食べた。(樺太東海岸)
塊茎を煮て、紐に通して数珠のようにしたものを作り、保存して冬の料理の材料にした。(樺太東海岸)
保存した塊茎は、2日間水に漬けてもどし、茹でて、油をつけて食べました。
ユリ科だけでなくケシ科のエンゴサクの根も、北方の人々にとっては、長い冬に備え貴重なデンプン質を得る糧だったことがわかります。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する