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実は、この春は山椒の実をつける雌の山椒の木を探して、近場のあちこちの山の探索を続けています。
山椒の木を知っている人は多いと思います。でも、実をつけた山椒の木を見た人は、あまり多くないのではないかと思います。自然の場で、実をつけた山椒を見つけるとなると、なかなかむずかしい。
理由は、山椒の木には雄雌の別があって（雌雄異株）、実をつけるのは雌の木だけだから。そして、割合でいえば、山椒の雌の木は、雄の木にくらべて、ずっと少ないからです。
そのうえ、雌の木は、４月末に実をつけ、８月末〜９月半ばには、赤く熟して種子を飛ばしてしまう。
食べ頃の若い実山椒を見つけるのは、５月末から６月初めが時期です。しかし、まる一日、歩いても、雌株が１本見つかるか、どうかというぐらい、探索はむずかしいというのが実感です。
我が家では、この７、８年ほどは、山の沢筋の斜面で実山椒をたわわにつける山椒の雌株に通って、青く若い山椒の実を入手してきました。
ところが一昨年あたりから、この山椒の木のまわりの他の樹木が成長して、斜面の日当たりが悪くなってきた。樹勢が目立って衰え、実をつける数が激減。
今年は、実がつきはしたものの成長が著しく遅く、この木自体が枯死と背中合わせの状態になってきました。 そこで去年からは、新しい雌株を探して、家から１時間くらいで入れる森や沢筋をときどき回って、探してきました。
雌株さがしは、こつがあります。大前提は、雌雄の木の区別。雌の木に付く実の形をしっかり覚えておきます。
写真１枚目は雄株で、４月に雄花を咲かせ、おしべの先端に花粉が膨らんでいる様子です。
写真２枚目が、同じ時期の雌株の雌しべ。受粉する前後の時期から、すでに「実」の姿が出来はじめています。この雌花（＝実）が、雌株の目印です。
それでも、去年は、良い条件のものは、一カ所も見つからなかった。
今年は、３個所に５本の山椒の雌株が見つかりました。
今年試して結果が出たのは、探し方のコツをつかめたからです。
それは、「山椒の木にもシロがある！」 ということです。
山の斜面には、降雨時に浅い沢型になって土砂が流れてくる跡ができます。浅い不明瞭な溝状の地形ができる。そういう地形は、沢型のくぼんだ場所だけでなく、動物たちが歩く道や、作業する人が行き来する尾根筋などにも、作られることがあります。
そして、こういう傾斜地の溝状の地形に、上から下方まで、山椒の若い木が点々と連なって生えていることがあります。
これが「サンショウのシロ」です。
多いときには、幼い株や背丈を超す株など、２０株以上の山椒の木が上から下までならびこともある。高度差は１００ｍ前後にも。今度、私が出会ったのは、登って確認できた範囲で３０株ほどのまとまった行列でした。
なぜ、こんな「サンショウのシロ」ができるのか？
それは、涸れた沢型の上流側に、毎年、大量のサンショウの実を落とす雌株があるからです。実（種子）がそこからたくさん落下し、あるいは流されてくる。
この涸れた沢型を上下に探せば、効率良くたくさんの山椒の株に出合える。すると雌株の割合が少なくとも、多くの山椒の木を観察できることで、雌株に出合えるチャンスが増える。しかも、溝状の地形では下生えや他の灌木が少ないため、行動しやすい。
ここで一挙に３本の雌株が見つかりました。その一番の親株にあたる雌株は、６０ｍほど上がってもまだ確認できませんでした。でも、３本も雌株に出会えたら、もう探索は十分です。
ここは、視界の範囲で上下見渡せるラインの全体が、「サンショウの王国」でした。方角が日当たりがいい南東に開いた斜面だったことも、繁殖に幸いしたようです。
見つかった３株ですが、１株は大きさがまだ小さい。しかも、大雨で流水があるときに土砂などをまともに受ける位置にありました。土砂の移動で、根の一部が地表に出ています。そばの、より日当たりが良く、表土が安定した場所に移し植えました。
山椒の株が大人の背丈を越えて大きく育ったものでも、少し日当たりが悪い場所にあると、枝に付く実の数がずっと少ないのです。彼らの生存と繁殖は、日当たりや地形、流水や、土砂の移動などの面でも、微妙なバランスのなかに置かれていることを感じました。
現場にあった別の２株のうち、１株は、わたしの背丈を超すほどに育ってきたのに、実をあまりつけていませんでした。日陰気味の位置のせいでしょうか。足場の土石も不安定そうですが、かなり大きく育っているため、そばの安定した位置に移し替えができる状態を越えています。
不安定な場所にやっと育っても、３ｍほどの大人の樹木に育つのは、限られている様子です。
数ある山椒の木のなかで、数少ない雌株として生まれ、傾斜地の崩壊地形の中で、やっと育ってきた山椒の母親です。せめて、山の空気と水を一杯吸って、しっかり根を張って育ってほしいと思いました。
こんにちは！
山椒の雌株、少ないんですね。
我が家から歩いて数分の裏山にあるので、たくさんあるのかと思ってました
ことしもそろそろ様子を見に行きたくなりました
mitugasiwaさん、花を見る目は、他の植物、木本にも、視界が広がるようですね。
山椒の雌株は、普通に登山道を歩いたのでは、１日かかってもなかなか見つからない。それに、あんまり山奥では、年に１度の実の採集に出かけるのも、一日がかりになってしまいます。私の場合は、３０分で登山口へ入れるので、なるべく近場に穴場を探したいし、「山椒のシロ」の山椒たちとも、末永いおつきあいをしたいです。
山椒の雌株は、自然の条件のもとでも、２０年を越えて、長い寿命を持っています。
以前に探し当てた、奥多摩有料（いま無料）道路の雌の山椒の木は、秋には差し渡しで８畳間ほどの面積の地上に、たくさんの実山椒を振りまいていました。
観光ドライブの駐車場の１本なのに、木が大きいせいもあって、ほぼ誰も、山椒と気づかない。
家から数分で、雌株ですか。花だけでなく、自然からのお裾分けでも、mitugasiwaさんとこは、条件がいいですね。
植物を育てるのが好きな実家の母が、庭にある雌の山椒の挿し木株をくれて、庭に植えておいたのですが、冬の間、枯れたようになっていました。3月に若葉が出始めて、喜んだのですが、今の所花も実も付いていないです。これは、来年からかな。
僕も山椒のピリピリ料理に憧れて。なかなか売り物ではお目にかかりません。
今年は、葉っぱをタケノコ煮や豆腐に乗っけて風流ご飯にしています。
yoneyamaさん、実家から受け継いだ山椒の雌株、大事に育てたいですね。
考えて見れば、山椒の木は、ずいぶん古い時代から、人といろいろな関わりをもちながら、存在してきた植物なんですね。
春の若い葉が芽生えたのに、この季節になっても花も実も出ないというのは、一番考えられる原因は、挿し木のその雌株が、若すぎるという可能性があります。
うちの庭には、苗屋さんから３年前に購入してきた、「朝倉山椒」という品種の山椒の株が１株あります。この朝倉山椒は、１本の木で受粉して、実がなるように突然変異を起こしたサンショウを、接ぎ木で増やして、市場に出荷しているものです。（より正確な説明をしているサイトあり。）
最初の２年間は、春に若い芽が出て、葉になるだけだったのです。移植して３年目で、今年初めて、雌花が確認でき、６０粒ほどのサンショウの実がつきました。
よねやまさんの実家で、挿し木で増やしたのが、この「朝倉山椒」だとすれば、もう１，２年でそろそろ雌花と着果が確認できるようになるかもしれません。
うちの庭のものは、背丈が２ｍ近くに育ち、それでやっと、初めての着果を迎えました。
（なお、私はこの朝倉山椒について、いろんな条件と着果の可能性について、ほとんど事例を知らないのですが、もしかしたら、朝倉山椒は、１本だけでは着果しないということが、あり得るのかもしれません。または、こういう自家受粉では着果の可能性が低まるとか。
我が家の場合は、庭には雄の山椒の木が、別に２本、育っています。実はならなくとも料理用の「木の芽」の供給源です。これら雄株の花粉が、朝倉山椒の着果に良い方に影響しているのかもしれません。多くの雄の花粉の中で育つ方が、着果もいいというようなことが、もしあればです。）
もう一つ、実がならない原因として考えられるのは、実家からのその１本が、朝倉山椒でない普通の山椒の雌株で、周囲の山椒の雄株が存在せず、受粉の機会に恵まれていないということです。
普通の山椒は、雌株と雄株のそれぞれに木が、受粉できる距離に育っていないと。着果はしないと思います。
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