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http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-811975.html
「カノープス??」と思われる方も多いかもしれません。太陽を除いて全天で一番明るい恒星がシリウス(視等級-1.47)というのはご存じの方も多いかと思いますが、実はカノープスはシリウスに次いで二番目に明るい恒星(視等級-0.72)なのです。しかし、日本ではなかなか観測できないということもあり、天文ファンにはともかく一般にはあまり知られていません(日本で二番目に高い北岳の知名度が一般には低いのと似ていますね)。
明るい星なのに何故日本では見えにくいのか。一言でいえば「赤緯が低いから」に尽きますが、観測地点を東京と仮定して主な理由を挙げると次の三点になります。
(1) 観測できる時期・時間が限られている
(2) 南中高度が低い
(3) 大気の影響で暗くなってしまう
(1)についてですが、カノープスが夜の間に南中するのは10月下旬から3月上旬に限られます。それ以外の時期は明るい時間に昇っているので見えません。また、地平線上に顔を出している時間も限られます。
(2)の高度については、カノープスの南中高度は大気差を考慮しても東京では約1.9度にしかなりません。地平線のちょっと上に見えるかどうかという高さです。このくらいの高さは街の灯りに照らされていることも多く(=光害)、これも見えにくい理由の一つになっています。東北地方より北ではそもそも地平線の上に出てきません。南にいくほど高度があがるので、観測の可能性は高くなります。
(3)も大きく影響しています。本来は視等級-0.72と明るいカノープスですが、高度が低いため日の出日の入り頃の太陽と同様に分厚い大気を通る間に減光してしまいます。もし本来の明るさで輝いていれば、高度が低くても容易に観測できるのですが…。
というわけで、日本でカノープスを見る確率を上げるためには下記のような対策が必要になります。
(a) 緯度の低いところに行く
(b) 南側が暗くて開けたところに行く
(c) 標高の高いところに行く
今回は富士山と一緒に撮るため、(a)は諦めて富士山のほぼ真北で標高も高めの甲武信ヶ岳に登りました。甲武信ヶ岳におけるカノープスの南中高度は、標高や大気差を考慮しないと約1.4度。これだけだとかなり厳しいです。しかし標高が2475mあるので、見かけの地平線が下がります。標高と大気差を計算にいれると地平線から3.3〜3.4度くらいの高度に見えることになります。富士山の手前に甲府盆地の光害があるものの、黒金山や乾徳山がある程度遮ってくれました。
拠点となる甲武信小屋から山頂までのコースタイムは無雪期で20分ほど。カノープスを見てみたい、富士山と一緒に撮ってみたいという方、甲武信ヶ岳はオススメですよ。ただし、前述の通り夏には昼の間にしか昇ってきませんので、秋か冬でないといけませんが…(小屋が営業していて雪がない季節を狙うなら11月がギリギリです)。ちなみに山頂よりも直下(甲武信小屋方面)の方が眺望がいいのでオススメです。
(写真1)は富士山の真上に昇ったカノープスを撮ったもの。思いっきりトリミングしています。「本当にカノープス?」と思われそうなので(笑)、証拠にStellariumで作成したほぼ同じ画角・時刻の星図を(写真2)。
(写真3)は冬の大三角形とカノープス。こちらは証拠あげなくても大丈夫かな(笑)。でも、念のため参考ページを↓
http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/02-topics01.html
本来はプロキオンやベテルギウスより明るいカノープスですが、こんなに暗く見えています。
初めまして。
素晴らしいカノープスと富士山の写真をありがとうございます。
南極老人星ですね。中国では見ることが出来たら長生きが出来るとか言われていますよね。
また、岡山からは讃岐の横着(おうちゃく)星とか言われてますね。讃岐では土佐の横着星というそうです。昇ったと思ったら直ぐに沈んでしまうから、横着な星ということなんですね。
晴れていれば自宅のベランダから肉眼でカノープスが見えます。鈴鹿のマンション8Fに住んでいます。今日は天気が抜群に良かったので、期待していたのですが、低空に雲が有り見えませんでしたー。
昔住んでいた宇都宮では、しぶんぎ座流星群の観測を新年会を兼ねて近所の中学の屋上で炬燵を持ち出してやっておりましたが、毎年なんとか双眼鏡で見ていました。
高校の修学旅行で雲仙に行った時、明け方ホテルの窓からギラギラ光るカノープスに感動したものです。もう40年も前なのに良く覚えています。
宮古島だとやはりギラギラだし、惑星たちが天頂付近に見えて沖縄の天文環境の良さに羨ましい思いがしました。
ニュージーランドのクイーンズタウンで見た星空は感動を通り越していました。濃い銀河系の中心、コールサック、南十字、エータカリナ、大小マゼラン雲、そして正真正銘全天第2位の明るいカノープスを見ました。毎夜寝るのが惜しくて本当に困りました。
C-3PO様、はじめまして。
コメントありがとうございます。
ご自宅からカノープスが見えるとは!なんと羨ましい…。
沖縄は昔、毎年のように行っていましたが、当時は星空をほとんど見ていませんでした。
今から思い返すともったいないことをしていました。
南半球の星空を見たことあるんですね!これまた羨ましい…。
写真には撮っていますが、肉眼ではっきり天の川を見た経験はあまりありません。
関東近辺だと光害ひどくて…。最近はあまり遠出もできなくなりました。
これからもよろしくお願い致します。
dhumeさん、こんばんわ。
見事な富士山の真上にカノープスですね。この時期、甲武信ヶ岳に行けるってのも羨ましいところです。。
関西からだと潮岬くらいに行かないと見えないのかなぁ。。
k-yamane様、こんばんは。
改名されてからは、はじめまして、ですね。
いつもコメントありがとうございます。
関西なら、その時点で関東よりは高く昇るので見やすいはずですよ。
潮岬まで行けば南側が海なので完璧ですね、きっと。
dhumeさん今晩はです。
山行記録を拝見いたしました。星の写真は抜けが良く色にじみと歪の少ないレンズが良いと思っていましたが、ソフトフィルターを使ったテクニックが有るのですね。この効果には大変感銘いたしました。
聞く所によると天文ガイドにも紹介されているとか。聞いて直ぐにdhumeさんの画像を見て納得しました。
カノープスと合せてますます星空がロマンチックになりました。
kintakunte様、こんにちは。
コメントありがとうございます。
山並みがぼやけてしまうので今まではあまり使っていませんでしたが、
明るい星を目立たせる効果は抜群ですね。
星が多いとどれがオリオン座やらよく分からない写真になりますが(笑)、
ソフトフィルターをつけると一発です。
最近の星景写真ではソフトフィルター使うのが一般的になっているような気もします…。
CLSフィルターも持って行ったので併用してみたかったのですが、
寒くてその余裕はありませんでした。
(取り付けてもはずせなくなりそうで…)
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