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スイスの公用語はドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4か国語ですが、フランス語圏ではフランス語の地名が付き、ドイツ語圏ではドイツ語の地名が付き…となります。
特にスイス・アルプスを抱えるヴァレー州は、州内がドイツ語地域とフランス語地域に分かれています。スイス・アルプスにおける言語境界線付近の地名がどうなっているのか、ちょっと調べてみました。
写真は下記URL(スイス連邦政府の地形図)のスクリーンショットです。
https://s.geo.admin.ch/6d928a011c
赤い線は、私が引いたドイツ語とフランス語の言語境界線です。
境界線付近の地名に南側から順に番号を付けてあります。
緑色の番号はフランス語の地名です。
オレンジ色の番号はドイツ語の地名です。
(注)私はドイツ語を全く知らないので、ドイツ語の読み方は正確ではないかもしれません。
1. Tête Blanche テート・ブランシュ(仏語)
2. Col d'Hérens コル・デラン(仏語)
3. Stockjigletscher シュトッキ氷河(独語)
4. Glacier de Ferpècle フェルペクル氷河(仏語)
5. Wandfluehorn ヴァントフルーエホルン(独語)
6. Schöenbielgletscher シェーンビール氷河(独語)
7. Cabane de la Dent Blanche CAS ダン・ブランシュ小屋(仏語)
8. Dent Blanche ダン・ブランシュ(仏語)
9. Pointe de Zinal ポワント・ド・ジナール(仏語)
10. Col Durand コル・デュラン(仏語)
11. Mont Durand モン・デュラン(仏語)
12. Ober Gabelhorn オーバー・ガベルホルン(独語)
13. Arben Bivoak SAC アルベン小屋(独語)
14. Trifthorn トリフトホルン(独語)
15. Zinalrothorn ツィナールロットホルン(独語)
地図を見比べると、地名に使われている言語が言語境界線で明確に分かれていることがわかります。例えば氷河はフランス語ではglacier、ドイツ語だとgletscherです。言語境界線より西側では全ての氷河にglacierという名前が付くのに対し、東側の氷河は全てgletscherという名前が付いています。
山小屋もフランス語圏ではcabane(Cab.と略されています)、ドイツ語圏ではhütteです。
山小屋の名前の後ろにはCASまたはSACと書かれていますが、これはそれぞれフランス語とドイツ語で「スイス山岳会」を表す略称です。
面白いのは言語境界線上にある山や峠の名前で、フランス語とドイツ語が混在しています。
Tête Blancheという山の名前はフランス語ですが、その北にあるWandfluehornはドイツ語の山です。
Zinalrothornに至っては、Zinalというフランス語圏にある地名の後ろにrothornというドイツ語が付いています。
なお1番のTête Blancheは独仏の言語境界線上にあると同時に、イタリアとスイスの国境線上にあります。
思えば不思議でした。両国語の名前を二つ持っている山は聞かないし、必ずどちらかの言語で呼ぶわけですね。多分、麓に住むほとんどの人が、どちらの言葉も話せるからでしょうね。
yoneyamaさん
MatterhornとCervinoのように国境にあって国が変われば名前が変わる山もありますよね。ただ1国内で名前が変わるといろいろ不都合がありそうなので、どちらかに統一しているのかもしれないですね。
ちなみにフランス語圏の人たちはヘルンリ小屋(Hörnlihütte)のことをキャバヌ・オルンリ(Cabane Hörnli)とそのままフランス語読みしていました。
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