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しかし中には、空耳と説明がつかないような、人の声としか思えないものや、全く原因が想像つかない怪音が聞こえることがある。
『黒部の山賊』でもそんな話が紹介されていた。
北アルプスの雲の平の周辺では、『おーい』と人を呼ぶという声が聞こえてきて、誰か遭難者でもいるのかと『おーい』と答えてその声について行くと、帰らぬ人となるという。
バケモノの気配の消えた現代でも、山ではそんな体験をすることもある。そろそろ暑い季節にもなってきた。ちょっと涼しげな話を紹介するとしよう。
■奇怪な声の話
学生の頃、地図読みのトレーニングを目的とした、藪漕ぎ山行があった。
いわゆる地図の点線のルートのようなところを走破してゆくのだが、あらかじめ先発隊がマーキングをしておいた、ルート上のポイントを回収しながらたどるというゲーム感覚のもので、いうなれば『超ワイルドなオリエンテーリング』であった。
点線と言っても、道がはっきり分かるようなところではトレーニングの意味がない。大月方面の、人の入らないようなフィールドをわざわざ選んで実施された。
実際山に入ってみると当然のことながら我々以外の者はいない。
『最後に人が入ったのはいつだったのだろう?』
そう思わせるようなか細い道を藪をこぎながら進んでいく。
その日は真夏のように暑く、汗だくになって歩いていたが、数人のパーティーで行動していたこともあり、ゲーム感覚でチェックポイントを見つけるたびに喜んだ。
ちょうどみんなで盛り上がってきた頃である。
道は尾根に上がり、目の前に森の窪地が広がった。
するとその窪地から突然
『子供の笑い声』
が聞こえてきた。
『???????????』
そこにいる全員で、
『なんで子供がいるんだ?』
と首をかしげた。
わざわざひとけのない場所を選んでいるので意外だったのである。地図で声の聞こえた方角を確認してみたのたが、案の定そこに道はない。
さらに、そこに至るための道も、その近辺には全くない。山菜採りでもさすがにここまで入るまい。まさしく山の中心のといったような場所で、そこに子供がいるなど、とうてい考えられなかった。
『動物の鳴き声なんじゃね?』
と誰かが言ったが、それに賛同できる者はいなかった。それほど"ヒトらしい声"だったのである。
『じゃあ幽霊ってこと?』
冗談のように話していたが、そこにいる誰もがそれ以外の回答を見出せず、内心ビビっていた。
そのときは背中の汗が嫌に冷たく感じたことをよく覚えている。
■奇怪な音の話
秋口に里山で、何人かの仲間とテント泊をしたときの出来事である。
知り合いのプライベートなテント場だったのだが、森の中の切り開いた広場があるばかりの場所で、むしろ山のドまんなかにビバークしたといった方がイメージ的には近い。
当然の事ながら我々以外泊まる者はいない。ちょっと不安を感じながらも、広場の真ん中にテントを張り、眠りについたのであった。
辺りからは鳥の声が聞こえてきた。私は、鳥は夜には活動しないと思っていたのだがそんなことはない。ただ、昼間のそれとはイメージが全く違う。
『チッチッ』とか
『ピピピッ』といった
可愛らしいものではなく、聞いたこともないような不気味なものなのである。
『フクロウ』のような情緒的な鳴き声はそこにはなかった。ギィーとか濁った声だったり鳥の声というより、両生類の声に近いやつもいた。
そんな気味の悪い声に囲まれては、不安でなかなか寝付けない。
ただ、そんな不気味な大合唱も聞いていると、『それはそういうもんだ』と慣れるもので、まるで風の音を聞くようなものとなり、ねむりについた。
深夜を回った頃だろうか?
突然テントの周りで
『ガサガサガサッ・・・』
『ガサガサガサッ・・・』
と音がし、ぎょっとして目が覚めた。
動物でもいるのだろうか?
宮崎学(ガク)さんというケモノミチに無人カメラを設置して動物の写真をとる写真家がいらっしゃる。
その人の写真を見ると人家に近いところでも、ノラネコを始め、ウサギやらシカやらタヌキやらクマやらが一夜でわんさか通るというのがよくわかる。
人があまり入らない山の中である。何者かが通っても不思議ではない。
『まぁ動物くらい通るだろうな』
なんて思って、また眠りかけたのだが、その直後に聞こえてきた奇怪な音は、心臓が縮み上がるようなものであった。
テントのすぐ近くで、
『ノコギリで木を切る音』
が聞こえてきたのである。
『えっ⁉えっ⁉、なんで深夜に山の中でノコギリを引く音が聞こえて来るの⁉』
頭の中ではその動物が鳴き声を発していると考えたかった。しかしそれは木をノコギリで引く以外の音であると言うことが難しいほど、明確なノコギリ音なのである。
その音はしばらく続き、その間この怪音に対し何か理由付けようと
『ノコギリの音ソックリに鳴く(音を立てる)動物』
というものをシュラフの中で体を硬くしながら懸命に探していた。
ただ、そんな動物を想像することは到底不可能で、もはやバケモノかジェイソンくらいしか思い至らなかった・・・。
夜があけると、仲間から
『ひょっとして・・・・・夜中に何か作ってた?』
とおそるおそる聞かれた。
どこに好き好んで夜中にDIYする奴がいるだろうか?
聞いてみると、どうやらその原因不明のノコギリ音は全員耳にしており、しかもみんな気になって眠れなかったらしい。
最近になってGoogle等で調べてもみるのだがそんな話は出てこない。
その音の原因は未だにわからないでいる。
cajaroaさん、こんばんは。
テン場で聞く音って響きますよね〜
学生時代の里ワンでの事。
その日は、私たちしかテントを張ってなかった。
就寝したところに、カッツーンカッツーン・・・何の音???
パーリーの指示で、いつも枕の下に置いておく包丁を持ってサブリーがテントの外へ飛び出した
幽霊のなんちゃら枯れ尾花・・・遅れて到着した方が、テント張ってました
お寺さんの横にあった公園でテンパリしてたから、余計に怖かったんですよね。
か弱い女子パーでしたし
もっともこの時、菜っ切り包丁でどう戦うんだろう?って、同期で話になって打ち上げのネタになってました
お邪魔しました。
jikyoonさんこんばんは
ここがツッコミどころではないのかもしれませんが、いつも枕の下に包丁をいつも置いてあると言うのと、幽霊に対して『包丁で戦うようサブリーダーに指示を出す』というリーダーが可愛いと思いました。
冷静に考えると、確かにサブリーダーの役割のような気がして、きちんとしていて余計に可笑しいです。(笑)
じゃあ幽霊とどう戦うんだと問われると、対抗手段が思い浮かびませんが、そこがオバケの怖いとこなんでしょうか?
テントだと物音との距離感が近く感じられるし余計に怖く感じますよね。
いつも読んでいただきありがとうございます。m(._.)m
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