|
|
|
紫陽花が道の両脇に咲き誇る細い道を県道より入ってゆくと小さな駐車場がある。数分、遊歩道を歩いていくと轟轟とした滝の音が聞こえてくる。遊歩道の終点まで行くと、山の中にポッカリと空いた大きな空間に柱状節理の断崖から流れ落ちる堂々たる瀑布が目に飛び込んでくる。
滝の右下の部分は岩壁が大きく刳れ、岩窟のようになっている。滝から落ちる水が滝壺にあたって吹き上がる水しぶきが丁度、この岩窟に向かって吹き込んでいるようだ。遊歩道の終点からそのまま岩伝いにこの岩窟に入っていけるようであり、滝を裏側から見ることが出来そうだ。岩は先程までの雨で濡れており、かなり滑るのだが、慎重に足場を選んで岩窟に入ってゆく。おびただしい数の流木が積み上がっている。そしてその間にはかなりの数のペットボトル。
誰かがここにペットボトルを持ち込んで捨てていったのだろうか?いや、ここまで来るようなもの好きがそうそういる訳がない。なぜ、このような状態になっているのか思案したが、すぐに理解した。滝から吹き上がってくる猛烈な勢いの水しぶきと共に滝を流れてきたこれらのゴミや流木が吹き飛ばされて、ここに溜まったのだろう。滝の下のこの部分だけ岩窟になっているのも、長い年月をかけて柱状節理の岩壁を水が削り取っていったに違いない。改めて長い歳月に亘る自然の力に畏れを感じる。
滝の下に近づくにつれ、吹き込んでくる水しぶきの勢いはますます強く、みるみるうちに体中がびしょ濡れになってゆく。ここに来るには雨具が必携だったようだ。上述のゴミの量からも推測する限り、滝の水は清流とは程遠いもので、あまり心地よいものではない。いよいよ滝の裏側に入りカメラを向けるもレンズに正面から飛び込んでくる水しぶきのせいでなかなか写真にならない。そもそも目を開けているのも容易ならざる状態だ。
滝の裏側から戻ると丁度、雲の合間から晴れ間がのぞく。滝に光が当たると滝壺から岩窟にむかって吹き上がる水しぶきに小さな虹が顕れるのだった。
この滝は全国に散在する裏見の滝にはリストアップされていないようだ。しかし、このまま年月が経つと、滝を裏見する岩窟には大量の流木とゴミが溜まり続けることになり、裏見どころではなくなってしまうのかもしれない。そうなる日が少しでも遠いことを祈るばかりだ。
この川の下流にはかの美しい高千穂峡があると知ったら川にペットボトルを投げ込む人も少しは少なくなるだろうか。
高千穂峡のレコ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1515578.html
※もしこのうのこの訪れることがあって、滝の裏側に足を運ばれる際は岩が大変滑りやすいので、くれぐれもご注意を。ずぶ濡れにのるのを覚悟するのでなければ雨具が必携と思われます。
画像1:滝を横から
画像2;岩窟を辿り滝を裏見
画像3;再び遊歩道終点に帰り着くと、陽の光を浴びた水しぶきに小さな虹が顕れる
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する