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タクシーを降りて、最初に遺跡に向かう。タクシーから遺跡が見え、反対側に旧石器ハテナ館がみえたので下車。雨が降っているが小降りなので傘もささずに荷物をおいて、遺跡公園に向かう。ここは旧石器と縄文、古墳時代の三つの遺跡があるらしい。古墳と縄文遺跡を回り、お目当ての旧跡時代の住居跡を目指す。出土した柱の穴などの住居跡が復元されている。
説明板には
「『住居状遺構（復元）』説明板
平成九年三月に発見された約20,000年前の後期旧石器時代の住居跡と考えられる遺構（痕跡）を復元したものです。
礫群（小石が集中している場所）や石核（石器の素材をはがし取った石）などによって直径約10メートルの外周をめぐらした範囲から、二ケ所の炉（火をたいた場所）や十二本の柱穴の跡が確認されました。
加えて約3,000点もの石器類が発見されたことから、人類定住の可能性を示す遺構として注目され、平成十一年一月二十八日に国の史跡として指定されました。」とある。
旧石器時代は、移動生活中心で、住居跡が残る例は極めて珍しいという。この遺跡からは礫が集中する場所、１２本の柱の穴の跡、炉がふたつも出たという。かなり大きな施設で、居住用というよりも大型の石器工房だったと考えられている。そのほか、小さな住居跡も出ており、定住生活に移行する直前の遺跡という説もある。またその旧石器住居跡の上の層ー遺跡公園東側の道路建設時の発掘調査で縄文中期の小型の住居跡、また遺跡公園北側６０mのところに古墳時代後期の小さな円墳が出てきており、それがこの公園内に復元されている。
雨が強くなってきたので撮影を終えると急いで旧石器館に入り、中の展示を見る。展示室では発掘時の状況が復元され、どのように発掘が行われたかもわかるようになっている。展示室では相模川とその支流に挟まれた相模原台地上に石器時代やそれ以降の遺跡が帯状に広がっている様を示し、その流域に最初に入り込んだ旧石器人の集落の一つがこの田名向原遺跡だ。住居跡と思われる遺構が残る貴重なものの一つだ。二万年前という調査結果が出ており、黒曜石その他の遠くから運ばれた石器原料から尖頭器などの石器やその破片、石核など３千点以上が出土し、ここが石器工房だったことが推定されている。また中央に炉が二つあり、住居の柱穴が１２個あり、大きな工房とされている。
発掘当時の様子の復元図があり、遺構の全容がわかりやすく解説されている。またここで使われた黒曜石は霧ヶ峰（星糞峠など）や高原山、伊豆箱根方面から長距離を移動してきている。おそらく大河川で運ばれた黒曜石を採取しに出かけて行ったものと思われるが、石器材料などを仕入れにかなりの距離を移動して歩いたのだろう。あるいは石器材料や食料などの交換市場などがあったかもしれない。４〜５�劼竜�離で勝坂遺跡など様々な遺跡があるようだが、今回は天気も悪く、相模原市立博物館に用事があるので、資料やパンフレットなどをチェックしてから、一時間後のバスで移動した。
ここは不便な場所で、相模線が単線で一時間に１〜２本しかなく、バスも限られている。一旦原当麻駅に戻り、相模線で上溝駅に出て、そこから淵野辺駅南口行バスで博物館に向かった。相模線の先頭車両に乗ると、駅を出るとすぐに単線になり、沿線の相模原台地を眺めながら上溝に到着。ここにはバスターミナルなどがあるが、駅構内以外はコンビニはなさそう。バスはやや遅れてきたが、運転手に尋ねると今日は消費税駆け込みで買い物客の車が多く渋滞で遅れているという。
バスはまっすぐ淵野辺駅南口に向かうが、博物館へは弥栄バス停で下車。お腹が減ったので焼肉屋を探して、ランチ焼肉定食を食べる。長いこと焼き肉（カルビ）など食べていないので、なかなかよかった。さて、市立博物館まで歩き、旧石器ハテナ館で見た博物館発行の資料を求めたが、在庫がほとんどないらしく、調べてもらうことにした。すると、二階の市民調査室に資料があるのでコピーなら取れるという。先に展示室を見に行く。
現在は「境川流域の開発と暮し」という旧石器時代から古墳時代位をテーマにした流域の歴史的な開発の様子を展示している。午前中に見た田名向原遺跡は住居跡遺構で有名だが、それより古い橋本遺跡、古淵B遺跡など最初に旧石器人が相模川〜境川の河岸段丘台地で資源探索をした足跡は約３万８千年前にさかのぼるようだ。またその後の最終氷期の最寒冷期である２万８千年〜２万４千年期を経て、温暖期に入ると多くの遺跡が出てくるようだ。そして二万年前くらいの田名向原遺跡では大きな石器加工工房と住居跡がみられ、定住革命へあと一歩というところまできたようだ。今回の展示は境川流域なので、相模川沿岸は含まれない。縄文時代になるとむしろ多摩丘陵側に数多くの遺跡が現れるようだ。２時から展示解説に参加。学芸員と相模原市教育委員会の文化財保護担当者が３〜４名でそれぞれの解説パネルの概要を説明。３０分のはずがすべてのパネルを説明し出したので、概要だけであっても１時間半もかかった。私にとってはありがたかったがーーさすがに疲れた。しかしあくまで概要なので、いろいろと問いただしたい項目があったが、一時間半のあいだに次々と質問が生まれたが、終了時点では思い出せたのは限られる。いくつかのポイントで食い下がり、また来てほしいと言われて終了。二階の市民調査室で資料をいただき、「相模原市史」考古学編を購入して、雨の中バスを待つことに。相模川、境川―相模原台地・多摩丘陵などの長い人類の歴史に思いをはせる長い一日だった。
写真１：田名向原遺跡公園の解説板
写真２：単線の線路の様子ー相模線
写真３：市立博物館の展示解説の風景
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