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黒部ルートの見学会から日にちが立ってしまいましたが、改めて吉村昭氏の
高熱隧道を読み直してみました。
黒四ダムと云えば、私たちの世代は映画「黒部の太陽」を思い起こします。
昭和39年、毎日新聞に連載された同名の記録小説を映画化したものですね。
小説「黒部の太陽」は、木本正次氏が「黒四で苦労した大勢の人たちの人間
の記録を書きたい、この工事で殉職した171人の人々のために、紙碑を立て
たい」というの強い意志とよって産み出された記録小説です。
1千万人にも及ぶ巨大な人間集団が造りだした、黒部の谷底からそそり立つ
コンクリートの岩塊、地下に建設された、巨大な黒部川第四発電所。
建設プロジェクト（通称くろよん）は、戦後の経済復興の本格化に伴う電力
不足を受け、昭和31年に着手、38年に完成しています。
くろよん建設で最も困難を極めたのが、大町トンネルの大破砕帯を抜ける工
事が、映画でもクライマックスになっています。
建設プロジェクトで殉職した171名の殉職者慰霊碑は、扇沢に向かう坑口に
建てられています。
しかし、戦前に建設された仙人谷ダムは、更に多くの殉職者があったことを
、吉村昭氏の著書「高熱隧道」を読み返してみて、実感として感じられまし
た。
高熱隧道は、温度が１６５度にも達する岩塊を黒部の水で冷やしながらドリ
ルで削孔してダイナマイトで爆破しながら、掘り進んでいくすざまじい工事
です。
地熱による重度の火傷、熱によるダイナマイトの誤爆で多くの方々が殉職さ
れています。
黒部ツアーで高熱隧道を通過する折りにもドアを開け僅かな硫黄の匂いと凄
い熱気を感じながら、説明を頂きました。
特に記憶に残ったのは、志合谷、阿曾原谷での雪崩による２度の犠牲で１０
０名を超える犠牲が出ていたことです。
志合谷で起きた雪崩は、昔のことであっても恐怖感を覚えました。
写真にある奥鐘山の大岩壁に３階〜５階部分(木造部分)を人ごと吹き飛ばし、
叩きつけられていたそうです。
この雪崩は、大寒波をともなったシベリア高気圧の発達で猛吹雪がつづき、
不安定の極に達した、雪庇が１千メートル近くの急傾斜を崩落したもので、
表層雪崩と呼ばれるもので、この大規模な煙型乾雪表層雪崩のことを泡雪崩
といい、富山県（黒部地方）などでは、ホウと呼ばれ恐れられているもので
す。
時速200kmにも達し、爆風は巨木すら根こそぎさらっていくそうです。
鈴木牧之の『北越雪譜』に「ほふら」の表記でこの種の雪崩の記述がありま
す。
『北越雪譜』の紹介は、日記(魚沼のこと)に書いてあります。
http://www.yamareco.com/modules/diary/24408-detail-83916
記録に残っている被害では、1918年1月9日新潟県南魚沼郡三俣村（現在の
湯沢町）で発生した泡雪崩が集落を襲い、158人もの死者を出したものが最
大だそうです。（三俣の大雪崩）
雪崩のことは、国土交通省の下記のURLに書いてあります。
http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/nadare.html
現に宿舎を人ごと比高さ78ｍの山を越え宿舎地点から580ｍの距離にある奥
鐘山の大岩壁に叩き付けています。
阿曾原谷の場合は、密性したブナ林があり、志合谷の泡雪崩は起きないと考
えられて建てられていたそうです。
ところが、吉村昭氏のドキュメンタリー小説「高熱隧道」によると、頂きか
ら傾斜の下まで7、80ｍの幅で樹木が消えていて、泡雪崩の爆風がブナ林を
切り裂き、ブナが矢のようになって宿舎めがけて突き刺さり、折から備え付
けの火鉢の火で火災を引き起こし被害が広がり、多くの犠牲者がでたそうで
す。
その後、工事は完了するのですが、人の心に暗い影を落とすことになります。
記録によると、仙人谷ダム完成は昭和53年11月21日、全工区の犠牲者は、
300名を超えていたそうです。
私たちの、黒部珍道中は、下記のURLに書いてあります。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-916158.html
「高熱隧道」は、３０年以上前、学生時代に読んだきりですが、名作ですね。また読み返してみたい本です。
先日、黒部渓谷のトロッコ列車に乗ってきました。単なる観光旅行です。奥鐘山の大岩壁は、「高熱隧道」の鮮烈な描写を思い出しながら、眺めていました。
crybabycryさん、こんばんは。
コメントを頂いたのに、気がつかなくて、申
し訳ありませんでした。
千本通り縦断、そして三条通り横断と楽しく
拝見させて頂きました、ありがとうございま
います。
年内には、千本通りを西に一本外して、歩く
予定にしています。
友人達にろーじ、どんつき等、面白く案内し
てみるつもりです。
三条通りは頭に浮かばなかったです、たまに
は、町中歩きも面白いですね。
来月は、堺の旧市街を歩く予定でおります。
黒部ルートは、関電ツアーの抽選に当選し、
参加しました、残念ながら雄山まで友人達を
案内できませんでしたので、いつか、訪れた
いと思います。
高熱隧道を読み返し、横坑口から眺める大岩
壁は自然の恐ろしさを感じました。
山岳トンネルは、NATM工法に変わり随分進
化しましたが、先人達の飽くなきチャレンジ
には、脱帽です。
コメント、ありがとうございました。
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