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1998年刊行のこの本は、すでに評価が定まっている感もありますが、
あえてレビューしたいと思います。
まず、この本は地図に関する基礎知識についてはほぼ記載がなく、地形図(登山地図)の読み方に特化した内容となっています。本を開くと中身は活字ばかり。例題の地形図を集めた地図帳が別冊となっていて、この例題を参照しながら読み進めていきます。
著者が力説していのは、あらかじめ山の地形、構造をとらえ、それを先読みしつつ登山をするということです。ここでは、地形図から山の形をイメージして目的地へのルートをとるのが目標となり、登山道を辿ることは副次的な事柄とさえ感じられます。
話はちょっとずれますが、昔カーナビなどがなかったころは、車で目的地に行く際にはあらかじめどこの交差点で曲がるとか、どの建物の向かいに目的地があるとか、頭にいれてから車に乗っていたと思います。登山でもただ単に登山道をトレースするのではなく、先読みをする、つまり尾根の分岐やピーク、斜面の傾斜の状況など地形図を読んで把握したうえで臨むことで山行自体がより楽しくなることが分かりました。
最初に述べたように文字ばかりのこの本は少しとっつきにくい部分はあるかもしれません。自分も何度か読み返してやっと理解できた部分もあります。しかしながら内容は秀逸で完成度も高く、興味さえもっていればどんどん読み進みたくなることはうけあいです。山登りを始めて日の浅い方はもちろん、地形図読みの実践的なエッセンスを再確認したい方など、多くの方に読んでいただきたいと思います。
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