近所のショップが気になるテントの入荷情報を発信していたので実物を見てきました。
arataというブランドが出したAX-75, AX-79, AX-130というシリーズで、1人用の75と79は最小重量1kgを切っています。お店で実測を表示していたのですが、本体、レインフライ、ポール、ガイライン合わせて1kgくらいでした。
クロスポール、ダブルウォールで1kgを切るテントは案外少ないです。少し前まではヘリテイジのハイレヴォくらいだったと思います(自分は4年前に購入して今も使用しています)。
最近になってYAR-1、SLソロ、今回のarata AX75/79と、一気に増えたように思います。自分が知らないものもあるかもしれません。
SLソロとハイレヴォは昔からの山岳テントメーカー製なので安心感があり、YARとAXは比較的安価なのが魅力ですね(安価でも在庫切れで買えない懸念も大きいですが)。
さて、AX75/79に話を戻します。このレベルのテントはどれも似たようなものですが、生地が薄くポールが細く、クロスポールとはいえ風にはあまり強くなさそうです。ボトム15dも上記テントの中で一番薄いです。
とにかく「最小重量」を軽くすることが第一なようで、公式サイトにもそういった記載がされています。詳しい構造やスペックは公式HPや紹介サイトをみてもらうのがいいと思います。
自分が気になったのは、テント内の短辺側にクロスして張るインナーガイラインをブレース構造に例えている点でした。公式サイトではこのガイラインが「長辺側からの風によるテントの変形を抑制する」と書いてあります。
長辺側からの風でテントが変形するような場合、短辺にクロスさせたガイラインは緩む方向なので変形を抑えることはできないと思います。
お店の方に聞いてみると「長辺側からの風による変形ではなく、短辺側からの風による変形を抑えるためのもの」と説明されてしまいました。
あまり優先度の高くない想定に思えますが、まあ確かに短辺側からの風でポールが広がるような変形をするのは抑えられそうです。ただ、公式サイトの説明とは異なってしまいます。とりあえずメーカー説明が腑に落ちなかったのは自分だけではないようです。
また、4シーズン使用できるという点もちょっとひっかかりました。店舗でフライを畳んでみたところ空気が抜けなかったので、レインフライに通気性はほぼなさそうです。公式サイトにも通気性があるような書き方はされていません。ところが、レインフライと地面の隙間を雪で埋めておいて、雪の侵入を抑制する、などと書いてあります。それは通気性のある冬用フライでの使い方ではないでしょうか?実際には冬もレインフライを張っている人は少なくないですが、通気性のないレインフライで雪に埋まると酸欠になる危険があるのは常識なので、それを推奨するような言い方をメーカー側がするのはマズイと思うのですが……。
さらにもう一点、公式サイトには、スリーブ式なのでレインフライ、本体、グラウンドシートをあらかじめ連結してから立ち上げることができ、雨天時はアドバンテージがある、という旨のことを書いていあります。レインフライと本体を結合した状態で、スリーブにポールを通すのは実際にやってみるとなかなか難しいです。ポールがスリーブのどこまで通っているか、ポールが変形していないか、スリーブがねじれていないか等がフライで見えなくなるので、スリーブが引っかかったままポールを押し込み、スリーブが破れるリスクも上がります。
その辺りは何か対策がされているのかと実物を見てみたのですが、特に何かあるようには見えませんでした。
独自構造について評価できると思う点もあります。値段も比較的お手頃なのも魅力でしょう。
あまりハードなコンディションに遭わないとわかっている中で使うだけであれば特に文句のない代物ではないかと思います
ただ正直なところ耐候性や「売り文句」には疑問も多いなあ、というのが現時点の感想です。
現物を見てもそのへんは覆りませんでした。
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