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ボルトが抜けたのは管理が行き届いておらず(または適正に設置されていなかった)、原告側が被告側に損害賠償(慰謝料も?)を支払うように求める訴訟です。
これは報道からの受け売りです。
訴訟で問題になると思われる内容
1 小鹿野町と整備していた団体の関係性
管理の業務委託か、使用許可か、金銭の授受はあるのか、契約書面はあるのか、書面などがなくても管理の業務委託と外部から受け取れるか(裁判所が総合的に判断)
2 ボルトが抜けたのは管理が行き届いていないという証拠の提出(原告側)
また、抜けないボルトを設置可能とする根拠の提出(原告側)
3 自然物に打ち込んであるボルトで生じた損害をどのように判断するか(裁判所が判断)
過去の判例ではどうか、今の世論ではどうか(裁判所が判断)
4 原告側のクライミング経験が過失相殺にどの程度影響するか(原告側勝訴の場合)
昨日、今日にクライミングを始めた方でないのでクライミングゲレンデで生じる危険を知っているはずだし、それを回避する技術があると裁判所が判断するはずなので。
今まで自己責任で済ませていたものを裁判所がどう判断するかは他のクライミングゲレンデにも影響を及ぼします。
登山者(とくにクライミングをやる方)が訴訟の行方を気にするのは当然です。
saitama-nの日記:登山の訴訟
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-167423
「原告側は弁護士がついているんでしょ。勝てると思ったから裁判するんじゃない?」と考える方がいるかもしれません。
原告側に雇われた弁護士は訴訟に勝つように努力するだけです。
弁護士は正義の味方でも弱き者の味方でもありません。
仕事でやっているだけです。
裁判の行方が気になる方は参考書を読みましょう。
登山をされる弁護士の方がかかれている本です。
登山者目線と弁護士目線の両方で過去の判例などを述べています。
Amazon:山岳事故の法的責任 登山の指針と紛争予防のために 溝手 康史
https://www.amazon.co.jp/dp/4434202324
Amazon:登山者ための法律入門 溝手 康史
https://www.amazon.co.jp/dp/4635510484
saitama-nの日記:「山岳事故の法的責任 登山の指針と紛争予防のために」を読む
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-152104
saitama-nの日記:登山の自己責任と自業自得と登山者自らが進んで行った事(その事を選択した自由)の結果
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-239094
saitama-nの日記:懸垂下降の質問を見て自分も同じ疑問を持ったのを思い出した
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-210074
裁判を受ける(提訴する)権利は保障されているので、なんとも言いにくいのですが、PDCAの良い循環で「後進に道を開く」ではなく、結果的に「後進の道を閉ざす」になってしまわないか?で気になってみています。
クライミングに限らず、登山でも過去に「1人ずつと書かれた吊り橋を大人数で渡り2人が落ちて死傷→6900万の損害賠償請求」などがありますし、介護施設で「90代がゼリーを誤嚥して亡くなる→2365万円賠償判決」なども。個別には事情もあるので是非は置いておいて、ガチガチ開発で自然破壊/登山道立入禁止、ぜんぶ胃瘻にしてしまえ/入所費用高騰/引き受け手がなくならないか? どこに線を引けばよいか? いい答えがありませんし、裁判所がいい線を示してくれる期待値も低くて(~_~)
としみず様。
としみず様の危惧と日本人一億総幼児化政策(過保護政策)の弊害(←こんな事は言っていない)は確かにありますね。
以下、自分の勝手な想像です(真実は不明)。
原告側は他の方のクライミング中の事故で多少の運・不運があるのを肌で感じているはずです(100%の安全などない)。
通常ならば今回の件は故意でも重過失でもないので訴訟には至りません(クライミングゲレンデが成り立たなくなるから)。
今回の件は原告側と二子山のクライミングゲレンデを整備していた団体との不和が発端と思われます。
以前は自由に登れた二子山のクライミングゲレンデが整備していた団体から小鹿野町がバックにあるとの事で権利を主張されたり規制されたりで原告側が何らかの不利益を被っていたのでないかしら。
原告側は不本意ながら従っており、登る前から問題が発生していたのではないかと。
また、原告側は団体から整備費用の負担を強いられた可能性があります。
金銭の授受があるとしたら、協力金とみるか、実質的な管理費とみるかで裁判官の心証は変わるでしょうね。
原告側の管理者責任を問う根拠はここにある気がします。
このように考えると今回の件は腑に落ちます。
あ、これは報道を見ての自分の勝手な想像です。
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