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一般的に硬度が高い鋼材は研ぎにくいけど切れが持続します。硬すぎると研ぎにくいので最大でもHRC60前後にしているようです(HRC=硬度。ナイフはHRC50くらいから。実用はHRC55以上だと思います)。
鋼材によって耐えられる刃先の角度(鋭さ)が異なります。通常は刃先に小刃で角度をつけて刃先が耐えられるようにしています。
鋼材の名前が同じでも焼き入れ、刃厚、研ぎの形状、研ぎの角度等で切れの持続性やタフさが異なります。同じ鋼材でもメーカーによって評価が分かれる物があります。
ナイフの鋼材は炭素鋼(カーボン鋼)とステンレス鋼があります。他に粉末治金鋼というものがあります(金属の粉を圧縮して焼き固めたもの)。
炭素鋼は研ぎやすく鋭い刃が付くが錆びやすい。稀に鋼が均一に仕上げられておらず、衝撃を与えると折れる時がある(こじる使い方やバトニング)。
ステンレスは錆びにくいが粘りがあって炭素鋼よりも研ぎにくく、刃先が鋭くなりにくい傾向があります。
粉末治金鋼は高級なナイフに使われる事が多く、切れが持続します。鋳物っぽいところがあり、刃先を鋭くしすぎるとボロッと欠ける、こじる使い方やバトニングの衝撃に弱い、寒冷下で欠けやすい傾向があります。
※こじる使い方やバトニングはナイフの使い方としてメーカーは推奨していません。
日本人は錆びを気にする方が多いのでステンレス鋼を好む方が多いです(キャンプ等でしかナイフを使わず使用頻度が低いのでマメなメンテナンスを嫌がる)。
ステンレス鋼と粉末治金鋼のみの私的な見解を(安い鋼材しか持っていないので世間一般の見解含む)。
ステンレス鋼
単にステンレス鋼や440とある場合は440A相当の柔らかい鋼材が使われる事が多いです。
・8Cr13MoV、8Cr14MoV・・・日本の鋼材AUS-8に似た組成だそうです。スパイダルコの8Cr13MoVは比較的まともと言われています。
自分が持っているカーショウの8Cr13MoVは鈍りやすいです。刃研ぎの角度の問題?
・AUS-8(A)・・・コールドスチールのリコン1というナイフで20年以上使われていました(リコン1はCTS-XHPを経て今はS35VNを使用)。切れの持続性は低いものの研ぎやすく作業用としては使いやすい鋼材のようです。
今は8Cr13MoVに置き換わってほとんど使われていません。
AUS-8(A)>8Cr13MoVとするレビューが多いです。
・VG-10・・・スパイダルコのナイフで多用されています(デリカ4等)。海外でファンが多い鋼材です。研ぎやすさと切れの持続のバランスが良いとか。
・440C・・・昔は高級ナイフの鋼材でした。9Cr18MoVとN690とAUS-10(A)が同等と言われています。154CMは440Cよりも少し良いくらいだそうです。
・D2・・・炭素が多く含まれておりセミステンレス鋼と言われます。比較的錆びやすい(黒のコーティングしているものが多い)。錆びまでは行かないパティーナという酸化被膜ができやすいようで、海外の方のレビューでは使い込むと黒い染みだらけになるそうです(レモンや焼いた肉を切ると染みができる。マスタードで強制的にパティーナを作り模様をつける方もいます)。
D2は硬度があり切れの持続が良いものの、炭素の塊ができるようで刃先がボロッと欠ける時があるそうです。
安いナイフのD2は中国で作られたD2同等品だとか。安くて切れの持続が良いので今はメーカーで多くつくられて人気のようです。
D2は研ぎにくいので欠けを直すのが大変と言われていますが、不器用な方でも角度を一定にして研ぐ研ぎ器があります。
・12C27・・・モーラナイフのステンレス鋼はこれらしいです。
・14C28N・・・モーラのガーバーグやリアルスチールのブッシュクラフトプラス等で使われています。切れが持続するようです。
Real Steelの14C28Nは海外の方のレビューによると硬度が低く設定されているみたい。
14C28Nの鋼材説明にHRC55-62とあるので、硬度を高くしすぎるとバトニングで欠けやすいのかもしれません。
・4116 Krupp・・・コールドスチールの4116 Krupp鋼材のナイフはモーラのナイフ(12C27)と使い勝手が変わらなかった記憶があります。
・420HC・・・アメリカのベストセラーナイフであるバックの110に使われる鋼材です。HRC58とあるので悪くないはずです。バックはこの鋼材をメインに使用しています(徐々に他の鋼材に置き換わっているけど)。
今はあえてバックの110を選ぶ必要は無いと思います(重量が205gもあるし、リアヘビーで重量バランスが良くありません)。
粉末治金鋼
・CTS-XHP・・・アメリカのユーザーにはD2の強化版と言われています。D2のように欠けず、研ぎやすいので好きな方が多いようです(でも、使用するメーカーは少ない)。S35VNよりも切れが持続するという意見も。
・S30V、S35VN・・・切れの持続が良いそうです。お高めのナイフで使われる事が多いです。
一般的に安いナイフの鋼材は硬度が低く、紙をサラサラきれるようにしても鈍りやすいです。お高いナイフの鋼材は硬度が高く切れが持続しやすいです。どの鋼材のナイフを選ぶかはメンテナンス次第かと。
14C28Nや粉末治金鋼のナイフは使いこんで刃先が多少ザラザラしても切れの持続が続くようです。
ある程度の硬度があれば最初の切れ味は変わりません。
紙を切るのは刃先に欠けや曲がりが無いかの確認用です。紙がサラサラ切れなくても実用上は使えない事ないです。紙を切りたければハサミかカッターナイフを使った方が良いです(基本的にメンテナンス不要だし)。
海外でホームステイか何かをした日本の方が砥石の面が出ていない砥石(凸凹だったらしい)でどうやって研ぐの?と思ったという話があります。刃先をとがらせてから鋸のようにザラザラさせれば良いと考える方が海外には多いようです。
日本のように刺身などの食材をスッと切るか、海外のように骨から肉をこそげ取るように切りとるかの違い?
日本人は鋭いナイフを好むようなので、折り畳みナイフならフラットグラインドのナイフが良いと思います(荒事に使わないので)。日本人は鋭いカッターナイフを普段から使い慣れているからだと思います。半面、薄い刃のナイフは刃先のコントロールがしにくいです(対象物に食い込むので)。
日本人の刃物の使用感(刃物としての基準)はカッターナイフと包丁なので薪割りのバトニング以外ではフラットグラインドで薄刃の方が好みに合うと思います。
何の知識もなくて折り畳みナイフで何か欲しい方はスパイダルコというメーカーのナイフにしておけば間違いありません。大きな後悔はしないと思います。
偽物が多いのでオークションや海外通販で購入せずに日本の信頼のおけるお店で購入を。
デリカ4、エンデューラ4、ストレッチ2、ネイティブ5、ドラゴンフライ2あたりが比較的お求めやすい価格です(すべてバックロック)。
スパイダルコのティネイシャス(8Cr13MoV)はライナーロックを外す時に手を切りそうで好きでありません(人に譲ってしまいました)。
Lexicon | Boker USA
https://www.bokerusa.com/lexicon/
主要な鋼材の説明があります。
自分の日記と説明が違くても気にしないで下さい。
saitama-nの日記:おすすめのナイフ(個人的に)
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-199328
saitama-nの日記:オピネルのナイフ
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-224942
saitama-nの日記:ボールベアリングを組み込んだ折りたたみナイフ(戸外ではゴミが入りやすい?)
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-232101
saitama-nの日記:自分のナイフの研ぎ方
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-199785
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